コーションランプ予備軍 | 俳優として一流に・・・そして新たな映画の可能性に向かって・・・

コーションランプ予備軍


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先週のトレーニング。




私の演じるヒューマノイド椿は、もはや人間かと思わせるほど表情豊か、愛情豊かになっていた。




これは演技プランどうこうで造り上げたものではなく、


この2ヶ月間行ったバックコンストラクションというトレーニングの結果、こうできあがってしまったというもの。




誠一の介護ヒューマノイド(ロボット)でありながら、


誠一を手本にし、


誠一に好意を抱き、


誠一を尊く想い、


誠一をいとおしく感じ、


誠一への愛が芽生えた。




この数ヶ月、台本にない部分を台本の延長線上で演じ、役の軸を構築してきた。


このバックコンストラクションで私の得たものは本物だったし、役の構築にぶっとい軸を挿せるモノだった。








だけど、


私はとても大きな忘れ物をしていた。








結局、演じて見せるものはバックコンストラクションではなく、台本の中の2時間の世界ということ。




バックコンストラクションで限りなく人間化に進化してしまったヒューマノイド。。。




見たいのは、見せたいのは、見せるべきなのはソレではない。







先週のトレーニングで、ソレに気づいた私は、


この数ヶ月、作り上げた椿の軸がポッキリと折れてしまった気がした。







すでに誠一の顔をみると、自覚できるくらいの愛は生まれてしまっていたし、ソレを隠すこともできないくらい大きくなっていたし。。




それくらいヒューマノイド椿は人間化してしまっていた。






結局、1週間考えあぐねて出した結論は、




『いったん更地に戻す』




この数ヶ月のバックコンストラクションを全くなかったことにして、




『ヒューマノイドは人間のように感情豊かではない』


『ヒューマノイドは人間のように表情豊かではない』


『ヒューマノイドは気持ちで動くのではない』


『ヒューマノイドは思考も表現もロジカル・メカニカルであるべき』




とまさに180度方向転換して椿を作り上げた。










この数ヶ月、


本気で全力で向かっていたトレーニング。


そのトレーニングで得たモノ。


全くなかったことにするなんて、ありえないくらい悲しかったし、腹が立った。


でも、完璧に人間化してしまったヒューマノイドはもっとありえない・・・と腹に押し込めた。










結果、




今週のトレーニング。


完璧にロボット(機械)になってしまった椿がいた。


なんの感情も流れていない、ただの動くスピーカーのように。


ただの家電。そのものに。










違う、違う。ちがう。


こんなの魅力的じゃない。面白くない。見たくない。










ヒューマノイドってなに?


ヒューマノイドの定義ってなんなの?


ヒューマノイドと人間の違いってどこなの?


もう、キャパオーバーだよ。。。








『ピコン・・ピコン・・ピコン・・』








私のコーションランプがグルングルン廻り、赤を撒き散らし始めたとき、




マスクで眉間に皺を寄せながら、コーションランプを止めてくれた仲間がいた。




彼女もまた、ヒューマノイド役で同じところでコーションランプ予備軍。









もしかしたら、来週はまた新しいヒューマノイド椿が生まれるかもしれない。。










コーションランプは未だ胸のど真ん中にあるけれど、、、










そんな気がした。














ヒューマノイド椿役  河野 仁美