Angel Down 狂乱する少女編 第15話『式神の理』 | 東方自伝録

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注意事項


1、これは東方projectの二次創作小説である


2、オリキャラが登場するのである


3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである


4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである


5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ


















「ここですね……」


藍は紫のいる博麗神社の前まで来ていた。
彼女は拳を握り締めて、本殿の中へと入っていった。
本殿の中では、紫が大規模な結界を貼っていた。
陰陽鬼神玉の修復と収縮していく博麗大結界の一時的な足止め。
この二つを同時に、かつ一人で行っていたのだ。


宝具『陰陽鬼神玉』


博麗神社最大の秘宝にして、博麗の巫女の力の源。
そして、幻想卿を維持するための博麗大結界の要。


藍は颯爽(さっそう)と中へと歩み寄り、紫に近づいた。
紫は彼女の気配を察知すると、背中を向けながら口を動かした。


「……藍、何故ここに? まだ呼んでいないわよ」


「紫様」


藍は唾を飲み込み、重い唇をゆっくりと開いた。


「私は何をしたらいいのか分かっています」






「私の式を剥がしてください」


「ッ!?」


紫は背中をわなわなと揺らしていた。


「私と紫様が式で繋がってる限り、紫様の力は完全なものではありません」


「今の紫様の力では、博麗大結界の再構築、陰陽鬼神玉の修復。この二つを同時に行うことは不可能です」


「ですが、紫様の力が完全なものとなれば、それら全てを行うことは可能です。そうですよね?」


紫はただ必死に唇を噛み締めていた。
紫も気付いていたのだ。その事実を。
今の不完全な自分の力だけじゃ、幻想卿を崩壊させてしまうことを。
藍の式を剥がして、藍に与えていた力を自分に戻し、完全なものにする。
それがこの現状での最善策であるということはすでに分かっていた。

だが、剥がされた式はどうなるのか?
消滅してしまうのか?
それとも、元の姿に戻るのか?

それは紫にも分からない。
だからこそ、怖いのだ。
藍の式を剥がすことが。


「もう一度言います。私の式を剥がしてください!」


「藍」

「はい」



「貴女は、私とともに長い時間(とき)を過ごしてきた。気の遠くなるような長い時間を」


「……」


「そんな貴女の式を剥がす。それがどういうことなのか……」


「……はい。どうなるのか、私にも分かりません」


「力を失うだけなのか……、それとも、式でいた頃の記憶を全て失うことになるのか」


「分かりません。存在自体が消滅してしまうのかもしれません」


「……」


「……紫様?」


紫がすっと顔をこちらに向けてきた。
その瞳には、小粒な涙が零れていた。


「やっぱり駄目よっ! 今回の異変は私の管理不足が原因ッ! 私のせいで……、私のせいでもし貴女が消えてしまったりしたら……ッ!」


「紫様ッ!」


藍は怒鳴った。主である紫に対して。
主の間違いを正すのも式神の務め。
それが、式神の理(ことわり)。


「起きてしまったことの責任については、終わってからで良いです! ですが、今の状況、あなたにしかできないことがある! あなたがしなければいけないことがありますっ!」


「私はすでに覚悟が出来ていますッ! お願いですから、紫様」


「私と幻想卿を天秤に掛けないでくださいッ!」


藍は叫んだ。
その強き瞳には、涙で埋まっていた。
藍の覚悟はすでに決まっていた。


「……藍ッ!」


「……」


紫の唇がわなわなと震えていた。
拳を握り締め、藍を、自身の式を見据える。
そして、藍の頭に手を差しあてた。


「それでいいのです。紫様」


「……」


「もし、私に何かあったら、橙のことを頼みます」




「こんな私を式にしてくれて……」


「本当にありがとうございました」



満身創痍リスト:


パチュリー・ノーレッジ
十六夜咲夜
レミリア・スカーレット
犬走椛
射命丸文
小悪魔
サリエル
エリス
ユキ
マイ
夢子
八雲博


                   To be continued...

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