13年目の自転車 | Centotrenta 代表 加藤いさおのBLOG                        

うちの舗の近くに

チャリンコ屋があった

13年前ロードバイクブームの頃

RALEIGHというイギリスのロードバイクを

そこのマスターが安値で売ってくれた



マスターとは別で

そこのチャリンコ屋の店長は

生粋の職人気質

無口でとてもいい奴で

いつも整備してくれていた




奴の名前はしんと言う

 

「しん、俺ロードバイク飽きたから

これを最強のママチャリにカスタムして欲しい」と言うと

 

「むずいっすけど、頑張ります」と

やはり最強のママチャリに仕上げてくれた



ある日

しんはそこの舗を離れて

遠くのチャリンコ屋に勤める事になった

 

引き継いでくれた奴も

これまたいい奴で

 

僕のチャリンコを2人で見てくれていた事になる

 

先日の事である

 

チャリンコのチェーンカバーが割れて

剥き出しになり

そうしてもズボンに油汚れがついてしまう

 

どこの自転車屋さんに言っても

 

「無い」と言う

 

「ない」と言うのは簡単だが

 

もしも

「頑張って探してみます」と言ってくれたら

消費者は

ずっとそこの舗に恩義を感じ

通うことになるだろう

 

お客商売とはそういう事だと

思うのです。

 

「すんません売り切れなんですよ・・・・・」

から

「いや、メーカーさんにあたってみますので

ちょっと時間ください」と

探すことこそ

小売の当たり前の紳士協定だと

僕は思っているのです。

 

 

困った私は

「しん」に連絡した

 

彼は僕の地元箕面の自転車屋さんで働いていて

 

心斎橋に来るのにも

すごく手間なのに

 




このように

我が事のように

チェーンカバーを探して

わざわざ付けに来てくれた


しかも

「僕からの出産祝いです」と

お代を絶対に受け取らない

 

僕はずっと

この自転車を手放すことは無いだろう

 

職人2人の心のこもった

最強のママチャリ

 

職人とは

手先は器用で

性格不器用

そして、誰よりも

暖かい気持ちを持っている

 

愛想が悪いのと

ぶっきらぼうとは

180度違う

 

昔、東京に住んでいる時に

ずっとタダ飯を食わせてくれていた

食堂の大将もそうだった

 

嗚呼

ヒトってあたたかい。

 

しん、ありがとう。