今回も映画の話題です。
タイトルの「首」という、北野武監督の作品を観てきました。
ネット上のいろんなレビューや感想を見ると、
賛否両論、好き嫌いがはっきりと分かれる作品のようです。
私はなかなか楽しめましたが、残酷描写やグロ表現、BLが苦手な方はダメでしょうね。
ドラマや映画など、多くの時代劇では、人が死ぬ場面があっても通常は首が落ちる瞬間や生々しい死体は映さないものですが、この映画ではあっけなく人が死に、バンバンと首が落ち、無残な死体がそこかしこに転がっています。そんな映画です。
しかしまあ、リアルな戦国時代なんてこんなものでしょう。
終始一貫して尾張弁でしゃべっている信長も、人格的にはともかく、実際はこんな感じだったと思います。
いつも思ってたのですが、どの作品でも大抵方言で話している坂本龍馬や西郷隆盛に比べ、
信長だけはなぜかいつも標準語。あれはどうなんだろうと疑問でした。
かつて歴史家の加来耕三先生が
「信長はドラマでは標準語で話しているが、実際には尾張弁でみゃーみゃーぎゃーぎゃー言っていたはずだ。京の将軍とはお互いに言葉だって通じなかっただろう。そこで尾張弁も京言葉もわかる光秀が間に立って通訳のようなことをしていたのではないか」
と仰っていました。
これを聞いてから、自分は尾張弁でしゃべる信長を見てみたかったので、この点については大満足です。
あと、BL。定番の信長×森蘭丸に加え、今回は光秀×荒木村重のかなり直接的なベッドシーンならぬ床入りシーンもあります。所謂「濡れ場」というやつです。
自分は光秀のBL相手なら、荒木村重ではなく、どちらかというと松永久秀のイメージを勝手に持っておりました。
まあ、それはどうでもいいですが、その村重を演じるのが遠藤憲一さん。ビビリで命を惜しみ、自分が助かるために必死で言い逃れをする、どこか現代人的な感覚を持っている村重です。
そのなかで、自分的に唯一残念だったのが、北野武自らが演じている秀吉です。
役者の年齢は、気にならない程度に演技でカバーできるならそれは別にいいです。
しかし、彼はまず活舌が悪すぎます。そこが一番気になりました。
そして一人称が「オレ」。う~ん・・秀吉は「わし」というイメージなんですけどね。
それと何かというと「バカヤロウ」を連発。要するに、秀吉というよりタケシそのまんまです。
この秀吉はいつも弟の秀長と黒田官兵衛と一緒にいて、コントのようなやりとりをしています。
そのやり取り自体はとても面白いのに、あの「バカヤロウ」で興ざめ。そこはせめて「あほたわけ」ぐらい言って欲しかったです。タケシ独特の「バカヤロウ」のイントネーションで「あほたわけ」と言っていれば、タケシの「バカヤロウ」を連想して思わずニヤリとしていたであろうに、そこらへんがとても残念です。
自分は北野武の監督する映画を観るのも実は初めてで、よく知っているとは言えないのですが、笑いのセンスはともかく、言葉に関してはあまりセンスのない人なのかなという印象を持ってしまいました。
北野監督、色々勝手なこと言ってすみません。映画は大変に面白かったです。
ありがとうございました。
今回は以上です。