やってみない事には、からっきし様子の分からない事ってありますよね。

本日のお題目の『胃カメラ』というものは、常に僕の心のどこかにある未知なるもののひとつです。

『胃カメラ』ってどんな?と、どなたに聞いても口を揃えて、あれは苦しい、あんなのは二度と・・とおっしゃいます。

そんなに苦しいのなら、止めておけば良いのに、引き入れられるように申し込んでしまったのが、20年振りの人間ドックです!

事前のお伺い用紙にある、バリウムか「胃カメラ」の選択は勿論「胃カメラ」!
そして次に僕を悩ませたのは、皆様のお話しには出てこなかった喉だけ麻酔かプチ全身麻酔かという選択肢です。
この病院には、5000円払えばプチ全身麻酔かけますよという甘い制度があります。
5000円かあ、これを高いと思うか安いと思うか?皆様の勇気に続けとばかりに奮い立っていたのに揺らぐなあ。麻酔なんて逃げるようで軟弱者っぽくない?もし麻酔から覚めなかったらどうするの?等々ありますが、その決断は当日でも良いようです。


翌朝、前夜からの絶食で、空っぽの胃袋で病院に到着すると、まずは血圧測定。何を隠そう、僕は血圧測定用バンドに締め付けられると心臓のドクッドクッという音がやたらと聞こえてきて気分が悪くなり、いつも血圧が上がってしまうのです。数字が表記される直前まで、深呼吸したり、血圧の低い人っぽくなろうと焦るのですが、この日も努力が結果に反映されませんでした。

お次は血液採取。
これは本日こそ胃カメラの後塵を拝して、苦手部門第2位ですが、普段の健康診断ならぶっちぎり第1位の種目です。
なにしろ僕は静脈の血管を探し当てられた段階で血の気が引き始め、気を紛らそうと貪るように眺める窓の外の景色が昼間だというのに真っ暗に見えるという始末です。
血液を採られ終わって、2メートル後方の待機所に引き下がる時にいたっては、もはや目の前が真っ暗で何も見えないので、来た時の記憶頼みで着席するという体たらく。見えていないのに椅子に座れた「まぐれ」、誰も知るまい。
しかし、ある年のN響の健康診断の更衣室で、血を採るのって嫌だよねと皆で話したので、僕だけじゃなかったんだと突然、まあ平気になったのでした。

その後は、いったいいつ胃カメラの部屋に導き入れられるのかという不安を抱えながらではありますが、へっちゃらホイの検査項目が続きます。
途中、看護婦さんに付き添われた、ぐったりした男性とすれ違いましたが、もしかして胃カメラ帰り?
ヴェトナム戦争映画「プラトーン」で、主人公がヴェトナムに向けて飛立つという時に、今まさにヴェトナムから戻って来た黒い遺体袋とすれ違うというシーンを思い出してしまいました。
そういえば先程から、病院の中枢に近付いてきたのか、看護婦さん達の雰囲気が物々しくなってきたような気がするのは気のせいか?明らかに血圧を測った地帯とは雰囲気が違う。

いよいよなのかもしれません。

藤村さ~ん、お次は胃カメラですよお。こちらでお待ち下さいねえ。

やはり、この部屋だったか。

カルテを持った看護婦さんに、初めてですかあ、緊張しますか?と聞かれて、はい、と答えてしまうほどプライドをすっかり削ぎ落とされた自分。
看護婦さんは、こう続けます。喉をカメラが通る時に皆さん、えずきます。鼻から入れますか?口から入れますか?口からだと鮮明な画像が得られます等々。

そして来ました最後の質問。
静脈麻酔しますか?
静脈に何か太い針を入れるんですね。それでも構いません。もう軟弱者とか敵前逃亡とか何とでも言って下さい!
僕は「はい」と答えたのでした。


まだ始まらないのかなあ、と思っていたら、
「はい、お疲れ様でした、終わりました」
えっ、いつやったの?眠くなり始めすら分からなかった。麻酔よ凄し。「即眠」していたのですね。

しかし、これでは5000円という金の力にものを言わせて胃カメラの辛さから逃げたようではないか!その通りなのですが、なんだか情けなさが残ります。


今は、人間ドック ロスと手応えのなさにさいなまれながら、検査結果が送られて来るのを静かに待つ日々を送っております。


その後、この病院を勧めてくれた友人に報告したら、それは勿体なかったと言われました。彼は自分の胃を見たり、特に大腸カメラで大腸の中を見るのが大好きなんだそうです。
よし!来年は僕も麻酔なしで受けて立ち、みんなに自慢出来るようになろう!!