まるで大学受験か、というほど準備してドキドキして臨んだ洗足学園での中国作曲家のコンチェルト、無事終わりました!!

前号で申し上げた、お写真がスキンヘッドだし、恐かったらどうしようと密かに恐れていた作曲家LIANG NANさん、お会いしてみたら、人当たりがふんわりしていて、とても優しい方でした!


本番前のゲネプロの時です。僕の前のフルートの方のオケ合わせを客席で聴いていたら、LIANGさん、向こうの方から僕の隣の席にやって来ます。ひと席開けて座られるのかと思っていたら、まさかの真横にぴったり。なんだか仲良し2人組みみたいで気まずいの半分、嬉しいの半分で10分ほどそのままでいたのですが、そのうち彼がスマホの中の楽譜を見せながら、ここはもう少しこんな感じで弾いて欲しいとかおっしゃりだしたので、「なんだと!外に出ろ!」

ではなく、そうですか、分かりました。では少しロビーで練習して来ますと外に出ると、なんとLIANGさんも、ついていらっしゃるではありませんか。えっ一緒に来るの?と軽く驚きましたが、人懐っこいというか、本来そっちの方が正解かもと思い直して、一緒に彼のリクエストを試してみたりしました。

普通はリクエストしたら、後は僕の責任、僕のビジネスなので、ほって置かれるのが常ですが、なんだか距離が近いというか密着型というのか、東京ではあまりない直情的なコミュニケーションに戸惑いつつ、でもあとから思えば短い時間でしたが、とても心温まる幸せな時を共有する事が出来たなあと思いました。

人間、本来はLIANGさんのようであるべきなのかも知れません。

そんな事、彼に気付かされました。

今後、藤村は最近なんだか人懐っこくなったとお感じになられたら、LIANGさんの影響だなとお考え下さい。

今回の曲は、まだお若いからか、溢れる想いとエネルギーを全て注ぎ込んだ、いわゆる「全部盛り」状態でしたが、それは、今後、省ける所は省き、削れる所は削って少しずつ磨いて行けば良いだけの事で、とりあえず今は、その独創的で豊かな才能を楽譜にぶつけて、演奏家や聴衆を楽しませて頂ければ良いのだと思いました。
なんと言ってもLIANGさんには、前途洋々たる才能を感じたので!

そして この日の晩、曲を披露された他の中国の作曲家も皆様、曲のどこかに必ず広々した大地を連想させるような雄大なメロディーを表現されていたので、その伸びやかなスケールの大きさが耳に残りました。
そのせいか終演後、普段とは違う広々とした幸せに満たされて帰路につく事が出来ましたよ。