ピアニストの悌剛之くんが、うちに来ました。
ヴァイオリニストの戸田弥生さんも、間もなくいらっしゃるはずなのですが、タクシーが、なかなか来ないと駅からのメール。
今日はお天気が良いからタクシーが出払っているんですかねえ、などと話していると、悌くんが指慣らしっぽく本日リハーサルをするチャイコフスキーのトリオを弾き出します。お邪魔かなと思いましたが、僕も、なぞるようにチェロパートを一緒に弾いてみます。
おやおや、なんだか、とても弾き心地が良いぞと、段々と興が乗ってきて、音も時々大きくなってきます。
それにしても、なんと居心地の良い音楽なのでしょう!
そうこうしているうちに戸田さん到着。
ものすごく素晴らしいのに、いつも腰の低い戸田さんが、遅くなってすみません等と言いながらヴァイオリンをケースから取り出し、いよいよリハーサルが始まります。
悌くんの皆をおおらかな気分にしてしまう魔法の前奏に続く主部が、意外としっかりしたテンポ。なんだか少し遅いぞと思いましたが弾き進めていくうちに、いつもゴチャゴチャとなってしまう部分も、これなら落ち着いてキチンと弾ける。ここって早口で何言ってんだか分からないような弾き方より、きちんと聴衆に伝わる事の方が大切な箇所だったんだ。なるほどねえ!と気付かされます。
そして、話しの伝わった聴衆の心をしっかり掴みながらテンポを上げていく熱い推進力。他の楽器を消してしまう心配のないところでは、ピアノにしか出来ない華やかな爆音も出す。フーガの低重心な音色も素晴らしい。
なるほどねえ!!よく考えられている!悌くん、僕の想定を超えて時間をかけて何度も推敲して来ているのが、よく分かります。そこには、はったりも虚勢もいらない、ただ立っているだけで人を納得させてしまう本物感すら感じます。
ところで、こういう方と自分の違いって何だろう?
才能?それはある程度あるかもしれない。安田謙一郎先生とご一緒すると時々、とてつもない天才を感じ、憧憬と絶望を感じる事がある。しかし、あそこまでのギフテッドクラスの才能はさておき、一般的な才能は、誰にでも人それぞれに何かしらあると思います。明るいキャラもあれば暗いのもまたキャラだ!的にね。
かのチェロの神様パブロ カザルスも、こうおっしゃっています。
よし!!これからは、もっともっと真剣に生きよう!僕はギフテッドではない普通の才能だけど、水を与え続ければ本来持っている程度の花は開くかもしれない。
そう思った秋の夜長でした。
