島根でのリサイタルが無事終わり、終演後の皆様との楽しい語らいも一区切り付いたところで、夕暮れの中、明日の公演地 広島へ向けて、再び峠越えです。
帰りも主催者さんの軽自動車は軽快に山道を駆け抜けます。軽自動車かあ、と最初は心配しましたが、見渡すと、この辺り、軽自動車しか走っていないようです。
その峠越えを数多くされている主催者さんが話されます。
「つくづく・・・(つくづくなに?)
つくづく島根という所は、妖精のというか精霊の国という感じがします。」
僕は、妖精?精霊?と思い、それだけじゃないだろうと、話題を深掘りしていくと、やはりお化けとか怪異現象にも多く遭遇されているそうです。
また、本当は僕に泊まって頂きたかったけど今回はホテルが取れなかったという雲海で有名な三瓶山は、UFOの出現回数の多さでマニアの間では有名な地帯らしいですよ。
島根、地べたから空高くまで超常現象で溢れているようですね。
さて日が傾き始め、相変わらず石州瓦が美しいですが、精霊の話しを聞いてしまった僕には、あの一軒一軒の農家や、その裏の森にも、夜になれば、それぞれの何か、そのちょっとしたお話しがあるのかなあと思えてきてしまいます。
そんな物思いに浸っていた僕は、突然の看板に
「すみません!!!ここに寄って頂けませんか?」
と叫んでいました。

日本国 特別天然記念物
『オオサンショウウオ』館です!!

150センチ!3000万年前から同じ姿!
特別天然記念物って他に何がそうかって、
アホウドリ、トキ、アマミノクロウサギ、コウノトリ、イリオモテヤマネコ、カワウソ(もういない)・・・
凄いですよ!どれもこれもビッグネームばかり。
そんな特別天然記念物のオオサンショウウオがここにいるのか!!
ありえない!
どこか遠い世界の生き物で絶対に見られないと決め付けていたものが、いきなり見ようと思えば見られるそこにいる!
僕は犬や猫のような可愛がれる動物より、珍しい野生動物を観察したりする事にドキドキし、無性に魅了されるのです。
この地方ではハンザケと呼ばれているオオサンショウウオの館、残念ながら閉館時間を30分ほど過ぎていたのですが、どなたか残っておられていたらと満願の念で扉を叩きましたが、既にどなたもいらっしゃらないようでした。
ああ、しかし、この建物の中にいるんだな。
とその時、主催者さんが、以前、裏の川に、ここの職員とオオサンショウウオを探しに行った事があるなあ、とおっしゃるではありませんか!
なにっ!!裏の川にいるのか!凄い!と僕は革靴である事なんて何のその、草をかき分け裏の川へと行ってみましたが、上手く川の中が観られるような場所がありません。
まったく僕が瞬間興奮で突出してしまっているので、オオサンショウオに特に熱烈には興味のない主催者さんの情報が後手後手に感じられます。
あっちの方の川にいるとかって言っていたなあ。
えっっ!
どこどこ??
道を渡って行ってみると、興奮した僕を地元の方がジロジロと見ます。どうせ、またそこ入っちゃダメだよとか言われるのかと思ったら、ハンザケなら、あの橋の下辺りにいるよお、とおっしゃるではありませんか。
凄い事を軽々しく・・・
言われた方角に足も地につかず行ってみると、これです。

こういう言い方は好きではありませんが
マジですか?
と口から出ます。
特別天然記念物ですよ。
幻の動物ですよ。
そこにいるんです。
ううむ、オオサンショウウオよ、僕は必ずや、その勇姿を目に焼き付けに、この地に戻って来るからな。
待っていろよ!
そろそろ日も暮れそうです。
明日はオオクニヌシノミコトの待つホールでのリサイタル。
暗くなる前に山を超えなければ。