島根県邑南町、オオサンショウウオの暮らす清流から湧きのぼる夕暮れに別れを告げると、我々は一路、広島市内へ!


今宵のホテルは、主催者さんは気にされていらっしゃいますが、少々いかがわしい繁華街のど真ん中。賑やかで活気のある地帯で、ここならお化けが怖くて眠れないなんて事はなさそうです。

到着すると、さっそく2人でお好み焼きを食べに街に繰り出しますが、人気店はどこも行列です。こういうお店は確かに美味しいのでしょうがSNSの影響もあるのかもしれませんね。とすると美味しいけどSNSで騒がれていないお店、そんなお店を見逃さじと直感を頼りに繁華街を歩いているとありました!年季が入っているけど清潔でお店のおじさんに活気のある店。

広島育ちの主催者さんに、お好み焼きの事を色々と教えて頂きながらのビールとお好み焼き。途中、次々とお客さんが「3人なんですけど」「1人です」とやって来ます。その度にご主人が明るく「今、いっぱいだから、ちょっと待っててねえ、(店内の食べている我々に向かっては)あっ早く食べろと言っているわけじゃないよお」等と常に笑いをとって楽しく、しかし、そこは少〜し恐い広島の繁華街で長年やって来ただけあって、酔っ払いにも文句を言わせない強さもチラリと見せつつ、お店を明るく盛り立てていました。

そんな美味しいお好み焼きと人間模様に大満足してホテルへ戻りますが、今晩は、窓下の賑わいに、安心して よく眠れそうです。



さて一夜明けると、以前から とても楽しみにしていたリサイタルです。

広島では初無伴奏チェロ・リサイタルな上に、会場が凄そうなのですよ。


 出雲大社 広島分祀!




木がふんだんに使われた贅沢な空間で、響きも素晴らしいです。

広島市内を一望、遠くには宮島も見えるそうですよ。


さて我々の車が、神社に到着すると、感じの良い若い神職の方がお出迎えして下さいました。会場の設営等をされていたのでしょうか。ラフなジャージのようなスタイルでいらっしゃいます。
ご挨拶してから、とにかくまずホールを見せて頂いたり、説明をうかがっていると、この神職の方のバランスの取れたお人柄や、目立たないお気遣いに、僕も気持ちがすっと整って来るような感じがしてきました。

これは今日のコンサートは上手くいくぞ、そんな予感がしてきました!
というのは、コンサートの成功のためには、まず僕がきちんと準備してあるのが第一ですが、その次に、演奏とは直接関係がなさそうですが、会場のオーナーの方との相性というのもコンサートの出来不出来に大きく影響があるなと常々、感じているからなのです。

よーしとばかりに気合いがむくむくと湧き上がって来ましたが、こういう時は、ついつい練習し過ぎて本番までに疲れてしまうのですよねえ。それで今日は疲れないギリギリの線までと、気を付けながら練習をしました。


さて、ひと通り練習もしたので、本番までの空き時間に神社の敷地内を探検だとばかりにぶらぶらしていると、さきほどの神職の方とばったりお会いしました。
しかも先程までのジャージではなく、清々しい神職のお姿ではないですか!

お寺でもそうですが、こういう所では、仏様や神様にご挨拶するのは必須の礼儀です。
それで目の前の拝殿で、お参りしようと、二礼二拍手一礼だっけ?一礼二拍手二礼だっけ?本職の方が見ていらっしゃるので恥ずかしいな等と思っておりましたら、神職の方が、どうぞこちらへとおっしゃるではありませんか!木戸を幾つか通り抜けながら導かれるまま奥へと進むと、そこは御本殿。

まず神職の方が、ここの神様であるオオクニヌシノオオカミに、何度も深々とお辞儀をされるので、僕も一気に厳粛な気分になってきました。
そして、かしこみかしこみ~と祝詞を歌うように挙げられるのですが、そのお声の美しいこと!!
続いて僕の前にいらっしゃってお祓いをして下さいます。
その途端、僕の身体に何か暖かい気のようなものが満ちてきたのを感じましたが、これは神様に包まれたのでしょうか?

神職の方の「オオクニヌシノオオカミ様は、とても寛容で温かい方なので、今日のコンサートもきっと楽しみにされていらっしゃいますよ」とのお言葉に嬉しくなってしまった僕は、テンション高く演奏致しました。すると自分で言うのも、おこがましいですが、拍手が鳴り止まないという予想外に嬉しい事が起こってしまったのです。ああ、やはりオオクニヌシノオオカミ様、助けて下さったのですね。

という訳で、中国山脈での短くも濃い2日間は、最後に神様の温かさに包まれるというクライマックスで幕を閉じたのでした。


コンサートに来て下さったお客様との会話、美しい田舎の風景、妖怪と出逢ってもおかしくない雰囲気、オオサンショウウオが生息する大自然、鮎の丸焼き、そして今も神話が色濃く息づく文化。
中国山脈、凄い所ですね!

またゆっくりと訪れたいものです。