私の母が60歳を超えた頃、突然、「富士山に登ってみたい」と言い出しました。
母は、あまり体力がある方ではないので、それまでは、私が山に出掛けても、さほど関心を示していませんでした。
母曰く、「富士山は日本一高い山だから、頂上はどのようになっているのか見てみたい」とのことでした。
母は、それまでに、長時間の歩行を強いられる登山経験はほとんどありませんでした。このような場合、普通は、低山の登山から少しずつ行動時間を長くしたり、標高差を大きくしたりして、事前トレーニングをして備えると考えるのですが、私はあえて、散歩以外の一切のトレーニングをしないことにしました。散歩は、朝晩のワンコの散歩と、私と共に週末に近所を散歩するだけです。その代わりに、富士登山用に購入したトレッキングシューズを履かせての散歩です。
トレーニングをしなかった理由は、(1)実行した時の母の年齢が61歳で、それまでにほとんどスポーツをしておらず、それほど基礎体力が高くない、(2)日常、仕事と家事をこなしながら、毎週末継続的に低山などでトレーニングをすると疲労が蓄積して逆効果、(3)疲れが蓄積することにより、登山は単なる苦痛という意識が植え付けられる、と考えたからです。
しかも、母は富士山に登ってみたいだけで、その後も登山を続けたいわけではありません。
したがって、最低限の努力(?)で、無事に富士山に登り切れればいいと考えました。
さて、実際の行動ですが、途中、酸素の吸入や脚のマッサージを繰り返しながら、富士宮口新5合目から頂上まで、約11時間を要して、何とか登り切ることが出来ました。9合目を過ぎると、数十メートルに一度、たったままの休憩を繰り返し、なかなか足が前にすすまないことに、母は「悔しい、悔しい」とつぶやきながら、少しずつ上を目指したのです。
この時、登りきれなかった場合、再び、挑戦する機会がある(精神的に?)とは思えなかったので、かなりきつかったかもしれませんが、最後まで頑張らせました。
結局は登りたいという、母自身の気持ちの強さが頂上に立てる原動力になったのだと思います。
母は登頂後、しばらく動けないくらいかなり疲労していましたが、私が作ったインスタントのカレーうどんを食べると、気持ちも落ち着き、下りへの気力も回復しました。下りは3時間弱でスムーズに行動できました。
今でも、富士山に登ったときの話になると、母は「頂上で食べたカレーうどんが美味しかった」と言います。
中高年のための登山入門/富士山、北アルプス、南アルプス、八ヶ岳などの3000m級の山に登る!中高年・女性・初心者(これからが、安全かつ快適に登るために必要な知識や技術を身に付けるための入門書(マニュアル)です。登山用語集、深田久弥の日本百名山、岩崎元郎先生の新日本百名山、花の百名山、山に関するリンク集、天気予報、山岳会HPのリンク、登山専門店HPのリンクなども掲載しています。
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