King Gnuが作る歌もそうですが、米津玄師さんも言葉の魔術師だと思う。

映画やドラマで使われた歌や曲を耳にして気に入ることが多いので
歌はメロディーも然る事ながら、歌詞もよく聴きます。
琴線に触れると、飽きるまで何度も聴く。

宮崎監督の【君たちはどう生きるか】は観ていませんが、米津さんが採用されたことは知っていました。

『馬と鹿』『Lemon』もドラマにピッタリの歌でしたが、『地球儀』も素晴らしい。
言葉の紡ぎ方が秀逸だと思う。


『この道が続くのは 「続け」と願ったから』

これは監督にも、主人公にも、そして、私たちにも言っているような気がします。
続けと願わなければ、道は続かない。





2015年の映画だそうです。
樹木希林さん主演
永瀬正敏さん、樹木さんの孫娘・内田伽羅さん出演

【あん】

ぱっとしないどら焼き屋さんに、75歳の老女がやって来ました。
求人募集を見て、老女は働くことを望みます。

このおばあちゃん、ただの老女ではなく、小豆の声を聴きくあんこ作りの天才。

試作で渡されたあんこがあまりにも美味しかったので、雇われ店長の千太郎は徳江を雇うことに決めました。

徳江のあんこ作りを習い、寂れたどら焼き屋さんが、いつの間にか賑わっていきます。



淡々と進むので、最初はぼんやり観ていました。
手が不自由な徳江。
けれどとてもとても楽しそうに働く。

なぜなら彼女は、10代の頃にハンセン病(らい病)にかかり、隔離病棟に入れられていたから。
自由を欲し、でも自由には生きられない人生。
そんななかでも結婚し妊娠もしましたが、「ハンセン病だから」という理由で産ませてもらえなかった命。
生まれていたら、千太郎くらいの年齢になっていた我が子と重ねていた。

自分が出来ることで役に立てる、初めての外の世界。
子供の頃から渇望していた外の世界で働けること。

五体満足で生きてきた私たちには、たくさんの選択肢があります。
たくさんの選択肢を持つ私たちには、解り得ない息苦しさでしょう

そのなかで、たった一時でも、病気のことを気にせずに働けることの喜び。
息子のような年齢のひとと働ける幸せ。

「何かになれなくても 生きる意味がある」
私もそう信じたい。





だいぶ前に書いたブログ
『周りを見る余裕がない。』なのかもしれません

平日朝の駅構内での必死な歩みを見ると、周りを見られる気がしない。

観光で来ている外国の方々はゆったりとしていますが、働いている人々は、皆前しか見ていません。

後ろに小さな子供が居ようが高齢の方が居ようが、視界に入っている様子はない。
これは、自分の生活だけでいっぱいいっぱいの姿を現しているようです





2024年は干支で唯一幻の生物である龍の年
そして、2023下半期から徐々に始まっていたという風の時代の年
(全く実感はありませんが、「所有」「物質」の重い土の時代から、身軽に、より軽やかに生きる世になるらしい)

だからなのか?
今年はやけに人身事故が多いような気がします。

帰宅ラッシュ直撃、通勤ラッシュど真ん中は当たり前
ラッシュよりやや早い時間帯が増えたような…

焦って走ることが嫌なので早めに出ていますが、早めの時間帯でさえ、ある。
『人身事故による運転見合わせ』
『運転開始は1時間後を予定』

明らかに人様に迷惑をかける時間帯なのに、衝動的に飛び込みたくなるほど辛いのかしらね





建設中の橋のケーブルが切れて崩落し、人も亡くなった。
現場監理者の狩山陸は、「会社を救うため」と社長から頭を下げられ、一人罪を背負う。

執行猶予がつくと予想されていた裁判に実刑判決が下され、刑務所で罪を償う日々が始まった。
そしてある日、面会に来た妻・玲子から離婚届を見せられ、玲子は癌を患っていて余命わずかだと聞かされる。

「この先もずっと」「これからも…」
そう変わらぬ未来が続くと思っていたから罪を背負った。
けれど出所するまで妻の命は持たないかもしれない。

妻が生きている間に、事故に見せかけた崩落事件の真相を明らかにすることを決意した狩山。
逃亡が始まる。



最終話が裁判シーンと、一足早く放送を終えた【アンチ・ヒーロー】と似た流れのせいか、裁判シーンが不評のようでした。


日曜ドラマは弁護士のお話なので裁判がメイン。

こちらは恐らく裁判は付属、逃亡劇がメインの『人と人』の橋をかけるお話。

メインが違えば、そのことにかける割合も変わります。


妻との橋

弁護士との橋

職人たちとの橋

兄弟の橋

悪くないと思いました。



ラスト

出所した狩山は、玲子と約束をしていた碓氷峠に行きました。

めがね橋を前に、その美しさについてうんちくを披露する夫。

嬉しそうにうんちくに耳を傾ける妻。


めがね橋を歩きながら、自宅の設計について楽しそうに話し合う二人が微笑ましい。

暖炉を夢見る玲子と、難色を示す狩山。

けれど、妻の拗ねた空気を感じて賛成に転じて振り向くと


一緒に歩いていたはずの妻はいませんでした。


妻はもういない
独りを思い出した狩山が、非常に切なかった。

外した結婚指輪をネックレスに通している姿にもじんわり。


エンディング曲のMAN WITH A MISSIONも、観終わるとドラマにぴったりでした。