スイスの東北ぐるり旅 2003年

10 ルツェルン(2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルツェルンで一番の見どころと言えばロイス川にかかるカペル橋であろう。駅から徒歩数分に位置しているから、この橋を渡って周囲の写真を撮れば、それだけでルツェルンに来た証になるというものだ。

 今の橋は大部分が火事で焼けた後に復元されたものだけど、どんな建造物だって使い続けるためには修復を重ねているのだから、気にすることはない。

小屋組に架けられた板絵もレプリカと本物とが並んでいる。裏面が黒焦げになったままのものもある。

 それよりも、復元なのに「いかにも作りました」感がゼロなのはどうしてなのか。同じ言語圏でもドイツに行くと、ハーフティンバーなんかも少しきっちりしすぎていて、再建だとすぐにわかってしまうのだ。

 

 

 

 

 

 川に沿って歩いて行く。白鳥が川底の藻を食べるために逆立ちして浮いている。同行者はなぜかこのスタイルが大好きで、見つけると喜んで写真に撮っている。

シャトー・ギュッチュに上がる。今日はレストランが休みなのでケーブルカーも動いていないから階段を使う。

 

 

 

 

 

 山の中腹にトーチカのようなコンクリート製の展望所が作られている。ここからは旧市街の展望が広がる。ちょうど西日に照らされて屋根が橙色に染まっている。遠くをみれば、リギが穏やかな山容を見せている。この山が東洋にあったなら寝姿山とでも名付けられていたことだろう。この展望所、眺めはよいのだが、残念ながら小便くさいので長居はしたくない。あと一息でレストランなので、写真だけ取ってさっさか離れる。

 

 

 しかも、せっかく来たのにレストランが休みなので一段下のテラスにしか入れない。それでも裏手の森から吹いてくる風が涼しいのでうろうろしていると、石の手すりで寝ているネコを見つけた。もう何年もこのレストランに住み着いているネコだ。

「また会えたね」となでてやる。自分たちを覚えているのか、おなかを見せてひっくり返っている。

 

 

 

 

 

 旧市街に戻る。窓や街灯にはオレンジ色の明かりが灯り、それが川面に映って揺らめいている。どのカフェも満席だ。

 

*   *   *

 

 翌朝、朝食の後、川岸に出てみる。今日は土曜日なので朝市が出ている。何かイベントがあるらしく、風船のアーチがあちこちに立ち上がっているのでひときわ華やかだ。巨大な白アスパラガスやアーティーチョークを買いたいけれども、ホテル泊まりではそうもいかない。

 

 

 

 

 

<11 ツーク へ続く>

<スイスの東北ぐるり旅 目次に戻る>

<うさ鉄ブログ トップページ へ戻る>