スイスの東北ぐるり旅 2003年

11 ツーク

 

 ルツェルンとチューリヒの間にツークという街がある。これまでは、列車から賑やかな駅前と広々とした湖畔の風景を眺めるばかりであったから、一度は訪れてみたい。

 ルツェルンから乗った列車には、サンモリッツへ向かう中高年の日本人団体が乗り込んで来て騒々しいことこの上ない。ロートクロイツの駅名を読むのにも四苦八苦していた。20分ほどの乗車時間なので我慢する。

 

 

 ツークの駅は大改装工事中で、一体どこが出口なのかも分からない。何とか正面らしき方に出て露店の並んだ広場を横切ると、右手に長いショッピングモールが伸びている。新しい建物で、外壁や柱に大理石をあしらっているのでそれなりに雰囲気がある。このモールを抜けた先にはノイマルクト・パサージュなる別なモールが続いている。こちらはコープのスーパーマーケットがあって、野菜や家庭用品が通路にまではみ出して陳列されている。普段着のスイスと言った感じだ。コープで昼食用に「サーモン」と「4本アスパラガス」のサンドイッチを買っておく。

 

 

 旧市街がどこにあるのか分からないので、通りがかりのおばさんに尋ねる。方向としては正しかったようで、モールを出ると湖が見えた。湖畔のベンチでサンドイッチを食べる。背後の広場に出ていた露店のテントは、その間に店じまいしてしまった。

 広場の端にはなぜか大きな鳥の家があって、我が家よりも立派な構えだ。金網で囲われた中にはコンゴウインコが飼われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 旧市街の路地に入り込んでみる。壁絵があったり、時計塔の下を道路がくぐっていたりする。それなりに商店も飲食店もあり、街並みだってルツェルンなどと比べても引けを取らないとは思う。


 

 

 ただ、この街には観光客がいない。静かなのは良いけれど、人が少なすぎて何だかうら寂しい気分になってくる。結局は湖畔に舞い戻って、ベンチから湖面を眺めて過ごす。

 

 

 

 

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