建築と空間 イタリアの巻 1994年

22 ヴェネツィア(4)

 

 

 

 

 

 

 今度は、大運河から東側の地区を歩くとしよう。

 ソトポルテゴ(アーケード通路)を抜けコルテ(中庭)へ出ることを繰り返す。ときには路地が運河に突き当たっておしまいになり、引き返さざるを得ないこともある。

 映画「旅情」ではビデオ撮影しようとして運河に落ちるシーンがあったが、現代のヴェネツィアではあまり起こりそうにない事態だ。運河沿いの通路にも橋にレンガ製や鋳鉄製の手すりが作られているところが多いのだ。

 それから、路地には「猫の家」が至るところにあるときいていたのだが、これも今のところひとつしか見つけていない。猫自体もほとんど見かけない。

屋根の上の物干し台は、結構見つけられる。ただし、運河の先の方にちらと見えたりするだけなので、写真には収めにくい。

 

 

 

 運河に面した建物の2階、3階には3連または4連のアーチが設けられている。尖頭アーチが多いのだが、そうでないのもある。「カ・〇〇」と呼ばれるような大邸宅ならともかく、一般の建築は潮風にさらされてかなり古びた印象だ。

 

 

 

 人の流れに沿って歩くうちに、リアルト橋のそばまで戻ってきてしまった。ついでなので、中央郵便局になっているフォンダコ・ディ・テデスキ(ドイツ商館)を覗いてみる。アラビア語でホテルのことをフンドゥクと言うが、中庭を囲んでアーチが連なる様子はアラブ世界と全く変わりがない。この街では、こんなところにも東方の影響が色濃く感じられる。

 

 

 

 

 

 もう一度、東へと歩いてゆく。

 カルロ・スカルパが改修を手掛けたクェリーニ・スタンパーリア財団のギャラリーがあるので入ってみる。たまには現代建築もいいもんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 さらに東へ。いつのまにかスキアヴォーニ河岸に近づいていて、サン・ザッカリア教会の前に出た。ルネサンス調の軽快なファサードである。

 

 

 さらに、さらに東へ。とうとうアルセナールの岸にまで来てしまった。元は国立の造船所だったところで、近傍には今でも中小の造船所が稼働している。

 

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