UK & EIRE 周遊 1995年
7 ゴールウエイ
アイルランドの首都ダブリンのコノリー駅に着いた。ダブリンの中央駅に相当する駅で、街の東側に位置している。列車からはどっと人が降りたし、10分間隔運転の「国電」もあるはずなのに、構内も駅前も何だか閑散としている。アマガエル色の二階建てバスに乗って中心市街地を横断し、西側にあるヒューストン駅へ行く。
バスを降り、工場か卸売市場を思わせる壁の隙間から構内に入る。こちらは島の南西方面への始発駅で、ダブリンの上野駅といったところだろう。クリスマスも近いこととて、切符売場には行列ができているなど雑踏ぶりも「上野駅」だ。切符売場を回り込むと立派な駅舎があった。正面玄関がほとんど利用されていない点まで似通っている。
目的の列車は既に改札が始まっていて、車内はあらかたが埋まっている。4人向かい合わせのボックス型シートである。ヨーロッパの中長距離列車でこのようなスタイルは珍しい。線路幅が広くても車両限界は小さいのか、窮屈な感じがする。
発車時刻になると構内放送があり、駅員が扉を閉めて回る。外開き扉で、車外からしか開けられない構造なのだ。発車するとすぐに停車駅と到着時刻の丁寧な放送がある。
アイルランド美人の売り子がトロリーを押して車内販売に回ってきた。スモークハムサンドイッチやターキーサンドイッチを買って昼食にする。サンドイッチは1パック1.80ポンド(315円)。通貨は英国ポンドからアイルランドポンドに代っていても、レートの差はわずか(1ポンド当たり5円)なので感覚的には同じようなものだ。品物ごとにレシートをくれる。各ボックスに大きなテーブルがあるので、食事には便利である。
大平原を望みながら3時間弱でアイルランド島を横断し、14時ちょうど、定刻にゴールウエイに着いた。
鉄道駅はバスターミナルも兼ねていて、駅舎前の狭い歩道に並んだバス停にも行列ができている。駅前広場の向かいに「アラン」の看板が見えた。行ってみるとそこは船会社の事務所で切符を買うことができた。
事務所の並びにはショッピングセンターの入口が口を開いている。入ってゆくと人口5万8千人の街にしてはたいへんな賑わいである。旧市街の石壁を取り込んだ吹き抜けなど建築のデザインセンスもいい。
裏手に抜けると商店街でパステルカラーの家並みの間に露店が出ている。アイルランドだから当然ながらジャガイモも売っている。さらに進むと川に突き当たり、橋のたもとからは川と用水路の間に遊歩道が伸びている。前方には大聖堂の円屋根が望め、空気が清々しい。