ユーゴスラビア東半分+アルバニアの巻 1996年

4 クルヤ 

 列車から見えた山上都市はクルヤという古都であった。チラナから日帰りで訪れるのに格好の距離なので行ってみようと思う。

 

 

 

 

 

 まず、シュコダル方面へのバスに40分乗り、フォシュ・クルヤというところで降りる。下クルヤあるいはクルヤ入口といったところである。バスターミナルに程近い小川沿いには市場ができている。

 その中に1軒、カセットテープを売る差掛け小屋がある。ダビングを繰り返したのか、かなりひどい音質のテープをラジカセで流している。アラブやトルコの雰囲気が濃厚な節回しにもかかわらず軽快な唄である。ケースのラベル(これもカラーコピー)には、Fol・Shqipと書かれている。SHQIPERIA(アルバニアの自称)のフォークソングという意味なのだろうか。

 

 

 フォシュ・クルヤからはミニバスに乗り換える。ミニバスは坂をぐんぐん上って、クルヤのバスターミナルに着いた。スカンデルベクの像が建っている。

 

 

 

 

 このあたりは新市街なのか、急な斜面に建つ中層のアパートを階段がつないでいる。階段を上っていくとすぐに行き止まりで、市街地は等高線に沿って伸びているようだ。メインストリートに戻ると、小さなモスクか廟のような多角形の建物があり、前方に城塞の展望が開けている。

 

 

 

 

 

 さらに進むと道は狭まり、両側に木造の建物が密集した通りに入る。木曽山中の宿場町に迷い込んだかのようだ。木製のゆりかごや弦楽器、民族衣装などのおみやげを売っている。

 

 

 

 

 石積みの城門をくぐり旧市街に入る。城塞の中心部には立派な博物館が出来ている。なかなか美しい建築で、テラスからの眺めも絶景だ。平地を敵が攻め寄せれば、たちまちにして守りを固めることが出来るだろう。背後の山は急峻過ぎて、大量の軍隊は通過できないと思われる。

 

 

 

 

 

 暖かな陽射しのもと、カフェのテーブルではイタリアから来た三人娘が談笑している。他に観光客は全くいない。

 旧市街を彷徨ううちにイスラム教の寺院の前に出た。そばに廟があって、緑色の布をかけた墓が3つ並んでいる。案内してくれた男が、トルコ語の古い写本があるというので、彼の家にお邪魔する。アラビア文字で書かれた写本はトルコ語ではなくアラビア語であった。いつの時代のものかはわからない。おもてのオリーブの樹は樹齢700年を数えるという。

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