バルト三国+ベラルーシの巻 2019年

12 ヴィテプスク(3) 

 
 

 レーニン通りとスボロフ通りが坂を下って合流する地点にラトゥシャ(市庁舎)が建っている。今は郷土博物館として使われていて、塔に登ることができる。

 博物館の入場料は13.5ルーブル(340円)と比較的高い。これは全部の展示を見ると言ったからで、塔だけなら6ルーブル(150円)しかかからない。

 

 

 

 

 

 

 

 塔には一定の人数が集まり次第、ガイドツアーで登る。階段を往復するだけだから、ガイドというより安全要員といったところだ。地元の親子連れと一緒に、階段を上ると360度の展望が開ける。この塔を中心に北西側3分の1が古い町並みで、残り3分の2は公園の中に近代建築が散らばった新しい市街となっている。

 

 

 

 

 塔を降り、館内を見て回る。メイド・イン・USSRという部屋があり、レニングラードと飾り文字がついたテレビとラジオの合体した器具が展示されている。

 必見なのは第二次世界大戦の部屋。黒い矢印のドイツ軍と、反攻する赤い矢印の赤軍が示された地図を見れば、この街の苦難の歴史とその後の冷戦時代について、少しは理解も深まるというものだ。

 

 

 

 

 

 旧市庁舎と並んで建つキリスト復活教会に入る。正面は大きな交差点に面し、背面はスボロフ通りの突き当りという格好の位置にある。聖堂内に足を踏み入れれば、天井アーチには星空のような装飾がされていて、この街にふさわしく幻想的な感じがする。気がつくと、聖人像で仕切られた内陣の背後にあたる祭壇上の高みからキリストがこちらを見下ろしていて、その視線がまっすぐ自分に向いているような錯覚に陥る。

 

 

 

 

 ヴィテプスクのランドマークといえば、何といっても西ドビナ川に面した丘に建つウスペンスキー大聖堂だろう。支流のヴィチバ川に架かる橋には、たくさんの南京錠が掛けられ、大聖堂に上がる階段では、願いが叶って結婚式を挙げた二人が記念撮影をしている。花嫁のドレスは何とも寒そうに見えるけれども、一応、胸のあたりには肌色に合わせた覆いがついている。もっとも、当人たちは寒さなど気にしていないと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 聖堂には基壇部分にも礼拝堂が設けられている。上部のホールではミサに会衆が集まっていても、こちらには誰も来ない。壁に掛けられた聖母子や聖人像の前には各々燭台が下がっていて、司祭がひとつひとつに火をつけて回っている。歩き疲れたので、ここでゆっくり休ませてもらう。

 

 

 

 

 

 

 夜になるとこれら主要な建物はライトアップされる。しかし、繁華街と言える場所もなく、観光客も少ないこの街では冬の夜は早い。投光器のスイッチが入るのも日によってまちまちなようであった。

 

 

晩御飯は今夜もバチコバ・ハータへ行った。

 

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