地図から始まる旅 ウクライナ 2018年

14 ペチェルシカ大修道院とミハイル教会

 

 

 キエフの朝、宿からほど近いジトニー市場へ行く。体育館のようなコンクリートの建物があり、周囲の道路にも露店が並んでいる。寒空の中、ご苦労なことだと毎度ながら思う。

 

 

 

 

 

 建物に入ると、全体が大きなホールになっていて、2階の周囲を回廊がとりまいている。ザクロを積み上げた店があって、その場で絞ってジュースにしてくれる。これは高くて40フリブニャ(160円)もする。

 

 

 朝ごはんは例によってプザタ・ハータでとる。この店は本当に安くて便利でおいしい。

 

 

 

 

 地下鉄を乗り継いでペチェルシカ大修道院へ。長いエスカレーターで地上に出ると、雪を被った街路樹が伸びている。修道院の手前にドニエプル川に面した展望台がある。鐘楼の上半分は靄の中で見えない。

 

 

 

 

 

 

 

 入口の門で、入場料50フリブニャ(200円)を払い、鐘楼の下で登楼料金60フリブニャ(240円)を追加して払う。この塔からの眺めは素晴らしい。わずかの間に靄が晴れて、金色の葱坊主の群が手に取るようだ。星を散らした群青色のドームもあって、これはニコライ教会という。全体が粉雪に覆われて、砂糖菓子のようにも思えてくる。

 

 

 

 地上に戻りトラぺジナ教会に入る。司祭のところに手を胸の前で交差させた婆さまや子どもたちが進み出て、口に何か入れてもらっている。聖体拝領なのだろう。口腔に落とすようにしているけれども、スプーンは使いまわしである。

 やがて、司祭は香炉を振りながらの祈祷を始める。聖職者になるためには声が良くて、音感が優れていなければならない。 

 

 

 

 

 

 教会を出て裏手に回ると、小さな建物に「洞窟へ」と記された標識があるのに気がついた。入ってみると下り坂の回廊で、店がびっしりと並び老人たちが上り下りしている。売っているのは宗教関連の本や祭具が多いけれども、蜂蜜やふつうのプラトーク(スカーフ)なんかも売っている。

 

 

 

 

 この回廊を抜けたところが「近い洞窟」である。さらに「遠い洞窟へ」の表示があるので入ってみる。こちらの回廊は上り坂で店などはなく、赤い木の床板に、窓には緑の縦格子がはめられている。

 

 

 

 

 

 回廊を抜けたところにも一群の教会があって、返り見すれば金色ドームに粉雪がかかり、これぞロシア(今の国はウクライナだけど)といった感じがする。

 もちろん「遠い洞窟」にも入る。参拝客はほとんどなく、金襴の衣装にくるまれた修道士のミイラが、わずかな灯りに照らされて横たわっている。

 

 

 

 昼食は地下の食堂で、修道院らしくつましくいただく。

 

 

 

 

 修道院を出て、隣接する公園内にある大地の女神像へ行ってみる。戦車などが屋外に展示されていて、たちまち気分が殺伐としてしまう。女神像には登れず、こちらからでは修道院もあまりよく見えない。

 

 

 

 

 ドニエプル川の段丘上に続く公園を歩いて帰る。展望台からは川の向こうに夕もやに包まれた高層アパート群が望める。おばさまたちがやって来て、「美しい!」と写真に収めている。醜くはないが、歓声をあげるほどの眺めでもない。

 

 

 

 初日にも来たミハイル大聖堂のところまで戻ってきたときには、もう日が暮れていた。大聖堂の門を出ようとすると「博物館・鐘楼」と書いた案内があり、奥のカウンターで手招きしている。前には気が付かなかったけれど、門になっている鐘楼に上がれたのだ。

 

 

 

 

 

 

 塔の上からはライトアップされた本堂が見下ろせる。背後は幅の広いドニエプル川とその中州だから、真っ暗な中に金屋根が浮かび上がって幻想的な風景だ。

 展望室の中央にはブースがあってレバーやペダルが並び、ワイヤーが繋がっている。しばらくすると、二人の人が入って操作を始める。いや、操作でなくて演奏だ。

頭上でカリヨンが響き渡る。低音のレバーなどは体重をかけて押し下げているから、かなりの重労働でもある。

 

 

 

 

 

 この教会と、向かい合って立つソフィア大聖堂の間にもクリスマスマーケットが出ている。今夜もホットワインなぞ飲んで温まろう。

 その後はビルの中の特設クリスマスマーケットで、おみやげ物でも探そうか。

 

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