地図から始まる旅 ウクライナ 2018年

9 カーメネツ・ポドリスキー(4)

 

 カーメネツ・ポドリスキー滞在も最後の日が来てしまった。けれども、まだ歩いていない道、行っていない場所がいくらでもある。この町には飼い犬が多くてしかも吠えるので入れなかった路地もあれば、勾配が急すぎて凍り付いた路面がすべるので敬遠した小径もある。

 普通の建物の1階にある教会など、何度も前を通っていながら、今日になって初めて気付いたのだから油断できない。

 

 

 

 城塞と向き合った旧市街の川沿いにも塔を幾つも連ねた館がある。建物に囲まれた中庭も作られているから、きっと税関だったのだろう。

 

 

 

 

 お昼は、ホテルに併設のタラス・ブリバというレストランに入ってみる。入るなり「英語のメニューはありません」と言われる。英語ではどうせ見てもわからないし、食べたいものはボルシチだからメニューの必要性もない。ボルシチが元々はウクライナ料理だと知って、一度は今回の旅行中に食べたいと思っていたのだ。

 ボルシチはおいしかったけれど、少し食べ足りない。アルメニア井戸の横に出ているコーヒー・紅茶の自転車屋台で紅茶を買ってベンチでパンをかじる。

 

 

 

 広場の近くにある役所のような建物の前庭に木造の教会があるのを見つけた。敷地には人が結構出入りしているので、勝手にお邪魔させてもらう。後で調べたら、この建物は歴史研究所であった。

 旧市街に点在する博物館やギャラリーを見て回る。歴史博物館の中庭にはスキタイの思われる石人が並んでいた。

 

 

 そんなことをしているうちに、冬の短い日が暮れてきた。今までとは別の展望スポットに行き、暮れ行く城塞を眺める。今日はひときわ天気が良い・太陽が沈んだ後の黄道光がいつまでも見えていた。