2024/5/16 光と虹と神話④ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。


今週は、自然写真家・高砂淳二によるフォトエッセイ『光と虹と神話』より、一部編集してお送りしています。


今夜は、その第4夜。


宇宙に舞う、光のショー。


オーロラが現れる、カナダのイエローナイフに、あなたをお連れします。


番組WEBサイトの、高砂淳二の写真と共に、お楽しみください。


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宇宙に舞う光のショー、オーロラ。


北米などでは、"ノーザンライツ(北方の光)"と呼ばれる事が多いようだが、僕はオーロラの方が、響きが見た感じとぴったり合っている気がして、好きだ。


そもそも、オーロラという呼び方は、ローマ神話の暁の女神アウロラに、由来するという。


17世紀頃から、オーロラという呼び方が浸透したようだが、なんと紀元前から、アリストテレスなどの哲学者たちは、「天の割れ目」と表現し、その神秘性を名前に乗せて、表現していたという。


ちなみに、名付け親はガリレオ・ガリレイ、だという説もある。


オーロラは、太陽から飛んできたプラズマ粒子が、地球の大気に衝突して発光する現象、というのが定説になっているが、アラスカ大学名誉教授であり、オーロラの世界的権威である赤祖父俊一氏によると、オーロラは地球の磁気圏とオゾン層のさらに外側にある、電離層の間の放電現象であるという。


いずれにしても、太陽フレアと呼ばれる、太陽の表面で起こる爆発現象などによって、強いプラズマ粒子(太陽風)が放たれ、それが地球でのオーロラ出現に関わる事が、分かっている。


そこで、その太陽風の発生状況などを、宇宙天気予報センターの情報から読み取り、その一定時間後に地球に届く事を考慮して、オーロラの発生を予想するという事が、今は普通に行われている。


しかし僕は、そんな予報はなるべく見ずに、毎晩今か今かとオーロラを待ちながら、夜空を見つめる事にしている。


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僕がオーロラを撮影する時は、予報に頼らず、毎晩今か今かとオーロラを待ちながら、夜空を見つめる事にしている。


滞在日数が限られている事や、予報が全て当たる訳ではないという理由もあるが、毎晩夜空を見続ける事によって、色んな表情の夜空を見る事ができ、しかも長く夜空の下で過ごしていると、その場所の夜空と少しだけ、繋がってくる感じがするからだ。


オーロラを撮影するために、僕は何度かカナダのイエローナイフを訪れている。


それは、イエローナイフの晴天率が高いだけでなく、周辺に大小無数の湖があり、白夜が終わった9月には、静かな湖面に映り込む、美しいオーロラが見られる可能性も、あるからだ。


[イエローナイフ]


水面に映るシンメトリーな宇宙ショーを見ていると、まるで全方位を宇宙に包まれた気分になり、ノーザンライツではない、宇宙の謎に包まれた神秘のオーロラを、今まさに体感している、という気分になる。


昔から、カナダやアラスカの先住民は、祈ったり、踊ったり、太鼓を叩いたりして、オーロラと特別な関係性を築き上げてきた。


オーロラは、僕ら日本人にとっての御神火であり、雷であり、御神木なのだ。


オーロラの仕組みが解明されてきても、それとは別のところに、オーロラと自分の関係性があり、自分のための価値が、ある。


そんな訳で僕は、オーロラ予報サイトは、見ないようにしている。


【画像出典】