2024/3/20 色で旅するハワイ③ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

『JET STREAM』


作家が描く世界への旅。


今週は、旅行作家、山下マヌーと自然写真家、高砂淳二によるフォトエッセイ『色で旅するハワイ』より、一部編集してお送りしています。


今夜はその第3夜。


ハワイには、鳥が運んだ緑、風が運んだ緑、海が運んだ緑、そして人間が運んだ、それぞれの緑の物語があります。


ハワイの緑の旅。


番組WEBサイトの、高砂淳二の写真と共に、お楽しみください。


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空からハワイを見てみると、実に緑が多い。


海底火山が爆発して出来た、ハワイ。


本来は不毛な大地だったにもかかわらず、だ。


[ハワイ]


同じ島でも、日本のように大陸から引き剥がされて島となったのとは違い、太平洋の海の真ん中に、突然姿を現したハワイ。


溶岩が固まって、島となったこの場所には、元々緑なんてものがある訳がなかった。


現在も、火山活動を続けるハワイ島の溶岩大地と同じ、色の無い世界だったという事は、容易に想像できる。


色の無いハワイは、その後およそ500万年の時を経て、現在のような豊かな緑と、花が生い茂る島となっていった。


ハワイ島のキラウエア火山から、カウアイ島のワイメア・キャニオンの間を移動するという事は、500万年の時空を超える旅という事になるから、凄い。


では、一体どうやって、現在のような色鮮やかな緑の島となったのか?


暗黒溶岩大地を、現在のような姿へと変えるきっかけとなった最初の元は、何によってもたらされたのだろうか?


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一体どうやって、ハワイは現在のような色鮮やかな緑の島となったのか?


それは多分、鳥からだろう。


アメリカ大陸とアジア大陸のどちらからも、ほぼ5000キロの距離にある、ハワイ。


大陸間を横断したり、ポリネシアを中心に回遊している鳥たちにとって、そんな場所に島が出来れば、


「ちょっと、ここらで休んでいきますか!」


と、休憩をするのに絶好の場所となる。


移動の途中にふらっと立ち寄り、用を足しては、再び飛び立っていったに違いない。


[鳥]


鳥たちが落としたものの中には、他の場所で食べた木の実や種が含まれている。


それらが、当時不毛だったハワイの大地に落ち、芽が生え、緑が息吹き、やがて背の高い木々へと成長すれば、さらに遠くからでも、島の存在が確認できるようになる。


すると、それまで島の存在に気付かなかった他の鳥たちも、新しい緑を目指してやってきて、またまたさらなる色の基が詰まったものが落とされて。


そんな事を繰り返していくうち、やがて黒かった大地も、色で覆われていったに違いない。


そんな色の配達を、鳥たちは500万年もしてくれている。


その、気の遠くなる年月に驚くのと同時に、一部はコンクリートで固められたにしても、ハワイという場所は、ここを愛する人間たちによって、未だにちゃんとケアされているんだなぁと、そんな事を実感してしまう。


いずれにしても、ハワイにおける命の第一歩。


それは、偉大なる鳥の落とし物から、だった。


そういえば、島と鳥という字が似ているのは、そんな互いの依存関係からなのかもしれない。


【画像出典】