2024/3/21 色で旅するハワイ④ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

『JET STREAM』


作家が描く世界への旅。


今週は、旅行作家、山下マヌーと自然写真家、高砂淳二によるフォトエッセイ『色で旅するハワイ』より、一部編集してお送りしています。


今夜はその第4夜。


海が作った緑の旅へ、お連れします。


番組WEBサイトの、高砂淳二の写真と共に、お楽しみください。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


空の鳥からだけでなく、海から運ばれてきた緑もある。


既に存在していたどこかの島から、海流に乗ってやってきた、ココナッツ。


どんぶらこと、桃太郎の桃状態で海を漂い、ハワイの海岸線に辿り着いた、ココナッツ。


浜に打ち上げられ、根を張り、緑を作っていく。


[ココナッツ]


そしておそらく、ココナッツが流れてきたのと同じ海流に乗ってやってきたのが、ポリネシア人。


およそ、1300年前の事。


既に緑豊かになっていたハワイに、人間たちは多くの豚などの家畜動物と、植物と仲間を連れて、やってきた。


人間がやってくると、自分たちが生きていくための、食物としての緑が必要になる。


新天地ハワイに、ポリネシア人が主に運んできたのは、タロ。


彼らは見事な緑のタロ畑(タロパッチ)を耕し、食物を確保していく。


[タロパッチ]


当初、緑鮮やかなタロパッチでは、上とか下といった身分の差など無く、みんなで力を合わせて、タロ栽培をしていたようだ。


ところがそれは、12世紀途中まで。


身分制度を持つタヒチ人が渡ってくるようになると、今までいなかった特権階級の王が現れ、王族専用の土地を所有するようになる。


そこで、タロを栽培させられていたのは、おそらく階級最下層の奴隷たちだろう。


鳥や自然が運んだ緑は、ハワイの大地を彩っていった。


しかし、人間が運んだ緑。


その本当の色は、何色なのだろう?


欲の色。


それとも、所有の色。


それとも、独占の色なのだろうか?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


不思議な緑が、海岸にはある。


こちらは、自然が運んだ緑ではなく、自然の力が作り上げた緑。


緑の海岸、グリーンサンドビーチ。


場所は、全米最南端。


ハワイ島最南端から、道無き道を歩いていく事、およそ1時間半。


4WDの車で行っても、およそ1時間。


つまり、車を利用しても、歩く速さとほぼ同じ速度しか出せないほどの、でこぼこ道を行く。


小高い丘を登った崖の下という、ちょっとマニアックな場所に、外界からの視線を避けるように存在している。


天気が良ければ、眼下にキラキラと輝く、珍しい緑の海岸が広がっている。


[グリーンサンドビーチ]


が、雲が多いと、緑の神秘さを感じられるかどうかは、正直微妙。


だとしても、行く価値はあると思う。


周りには何も無く、ただ緑のビーチの存在を確かめたくて、ここまでやってきた。


そこには、同じ目的でわざわざやってきた他の旅人たちがいて、


「お互い、よく来たなあ」


と、目と目で交わす。


困難な旅をした者だけの、何とも言えない一体感が、得られるからだ。


でも、どうして緑?


形状から見て、その昔、おそらくここは噴火口の一つだったと考えられる。


そのため、ハワイのマグマ含有物の特徴である、カンラン石が砂に多く含まれ、それが緑色に光る、とそのように言われている。


とすると、緑の海岸の前に広がるのは、海底火山の噴火口に流れ込んで溜まった海?


という事は、噴火口のプールで泳いでいる、という事だろうか?


真偽のほどはぜひ、ご自身で確かめに行ってほしい。


【画像出典】