「新しい空の旅へ」
今週は、『JET STREAM in HAWAII』。
様々な人や場所、伝統に息づく物語を、お送りします。
今夜は、マウイ島への旅。
マウイ島西海岸に、ラハイナという古い港町がある。
かつて、太平洋捕鯨のベースとして栄え、世界中から捕鯨船が集まってきていた。
時は流れ、今はホエールウォッチングで賑わっている。
だから、昔も今も、鯨はラハイナのシンボルだ。
ラハイナは観光地だが、古い建物、歴史的建造物が数多く残り、オールド・ハワイの風景が今も健在の、ノスタルジックな港町である。
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マウイ島西海岸の港町ラハイナ。
太平洋捕鯨のベースとして大いに栄え、今はホエールウォッチングの観光客で賑わう。
[ラハイナ]
さらに時代を遡れば、ラハイナはハワイの政治の中心地だった。
ハワイ諸島を統一したカメハメハ1世は、拠点をラハイナに置いた。
1845年まで、ラハイナはハワイ王国の首都だった。
ラハイナは、何人もの文豪に愛された町でもある。
作家たちはみんな、この町に暮らすように滞在し、名作を書き残した。
『モービー・ディック(白鯨)』を書いた文豪ハーマン・メルヴィルは、この町に長く滞在し、捕鯨船にも乗った。
[ハーマン・メルヴィル]
他にも、『宝島』を書いたロバート・ルイス・スティーブンソン、『トム・ソーヤーの冒険』のマーク・トウェイン、『火を熾す』や『野性の呼び声』の作者ジャック・ロンドンなどなど。
作家が長逗留した宿や建物が、今も残る。
ラハイナには、歴史的建造物などを保存する条例があるため、19世紀から20世紀初頭に建てられた建造物が、今も数多く残されている。
ラハイナは観光地で、常に大勢の観光客で賑わっているが、港からすぐの古い通りを歩けば、オールド・ハワイの風景がそこかしこにあり、いつしか自分が昔のハワイの住人になったような、そんな気分になる。
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ラハイナには、大型ホテルの類は1つもない。
昼間、この町を観光する旅行者のほとんどが、すぐ北にある一大リゾート地、カアナパリの大型リゾートホテルに泊まり、レンタカーやシャトルバスに乗ってラハイナを訪れる。
観光客は半日ほどラハイナを散策して過ごし、昼食あるいは早い夕食を食べ終わると、カアナパリのホテルへ帰っていく。
だがラハイナには、古い時代の建物を改装して造られた、小さいながらも素晴らしい宿が2つある。
そこに泊まれば、もっと深く、この古い港町を楽しめるだろう。
1つは、ラハイナ・イン。
築120年を超える木造2階建て、全12室の小さなホテルだ。
[ラハイナ・イン]
磨き上げられた木の床に、天蓋付きのベッド、窓辺のライティングデスク。
タイルが美しいバスルームには、猫足のバスタブが置かれている。
"ラナイ"と呼ばれる小さなバルコニーがあり、そこに置かれた椅子に座れば、真下に観光客が往来するラハイナのストリートがあり、少し右の方に首を傾ければ、桟橋と青い海が見える。
夕暮れ時、ラナイの椅子に腰掛けて、冷えたローカルビールを飲みながら、港町の喧騒を眺めているのも楽しい。
1階にはラハイナ・グリルという、伝統的なアメリカ料理を食べさせてくれる、素敵なレストランが入っている。
そこから歩いてすぐのところにあるプランテーション・インは、広いバルコニーとプールが付いた、高級ベッド&ブレックファースト。
[プランテーション・イン]
カリスマシェフ、ジェラードのレシピによる素晴らしい朝食メニューは、プールサイドのテーブルでサーブされる。
朝が苦手な人でも、この宿の朝食は、絶対に外せない。
【画像出典】