2022/5/25 マウイ島③ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

「新しい空の旅へ」


今週は、『JET STREAM in HAWAII』。


様々な人や場所、伝統に息づく物語を、お送りします。


今夜は、マウイ島への旅。


マウイ島最高峰、ハレアカラ。


標高は3055メートル。


その頂上付近まで、自分の車で一気に上がる事ができる。


常夏のハワイだが、頂上付近では雪が降る事もある。


Tシャツにショートパンツ、ビーチサンダルという格好で車に乗って山頂に着き、外に出てブルブル震えている、という観光客も多い。


スタンリー・キューブリックが監督した名作映画『2001年宇宙の旅』の、見事な月のシーンの一部は、ハレアカラの広大なカルデラの中で撮影された。


また、アメリカの航空宇宙局(NASA)は、かつて人類を月へと送るミッション(アポロ計画)において、宇宙飛行士の月面訓練を、ハレアカラの山頂付近で行った。


ハワイ先住民にとって、ハレアカラは古来聖地であり、信仰の対象でもあった。


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"ハレ"とは"家"、"カラ"は"太陽"。


"ハレアカラ"とは、ハワイ語で"太陽の家"という意味である。


こんな神話がある。


ある時、いたずら好きで半分神様、半分人間という大男マウイが、山の頂から姉の髪の毛で編んだ縄を投げ、空に輝く太陽を捕まえてしまった。


動けなくなった太陽は困り果て、マウイに懇願する。


「お願いです。


私を、離してください」


だが、いたずら好きのマウイは、笑ってその様子を見てるだけ。


時間が経ち、ついにマウイはある条件付きで解放してやろうと、太陽に語りかける。


「太陽よ。


いいか、よく聞け。


これから毎日、出来るだけゆっくりと、空を横切るんだ。


そして、ハワイの島々に出来る限り長く、沢山の光を降り注ぐんだ。


ハワイを、いつもお前の光で、いっぱいにするんだぞ」


半分神様、半分人間のいたずら好きな大男マウイのおかげで、ハワイ諸島はいつも眩しい太陽が輝く、常夏の楽園となった、という神話だ。


いつしかハワイの人々は、大男マウイのシンボルである大きな山を、ハレアカラ(太陽の家)と呼ぶようになったという。


[ハレアカラ]


マウイ島最高峰ハレアカラの山頂は、標高およそ3055メートル。


頂上付近には沢山の天文台が並び、雪が降り積もる事もある。


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ハレアカラは、3000メートルを超える山の上まで車で行けるという、世界的にもユニークな国立公園である。


麓の海辺の町パイエアから山頂付近までは、1時間半ほどのドライブ。


山には雲がかかっている事が多いが、心配はいらない。


ハレアカラの山頂は、雲よりも上にあるので、行けばほぼいつも晴れている。


頂上付近には、世界最大級のカルデラがある。


[カルデラ]


息を呑む眺めとは、まさにこの広大、巨大なカルデラの風景だろう。


スタンリー・キューブリック監督が、『2001年宇宙の旅』のワンシーンを撮ったという、その理由がよく分かる。


カルデラの淵に立つと、自分が月面か火星にいるような、そんな気分になる。


ハレアカラ山頂で臨む、夕日の美しさ、荘厳さ。


大空が、刻一刻とグラデーションを変えていく、そのドラマティックな眺めは、到底言葉にならない。


朝早く、真っ暗なうちに山頂へやってきて、寒さに震えながら待ち続けて見る、ハレアカラ・サンライズも、格別なものだ。


[朝日]


雲海が燃えるような赤に包まれ、やがて朝日が顔を出す。


写真を撮る事を忘れるほど、感動的だ。


あれほど寒かったのに、ひとたび太陽が上がると、気温はぐんぐん上昇し、陽が当たって体全体がポカポカしてくる。


まさに、ハレアカラ。


太陽の家にいる気分だ。


【画像出典】