「新しい空の旅へ」
今週は、『JET STREAM in HAWAII』。
様々な人や場所、伝統に息づく物語を、お送りします。
今夜は、マウイ島への旅。
マウイ島最高峰、ハレアカラ。
標高は3055メートル。
その頂上付近まで、自分の車で一気に上がる事ができる。
常夏のハワイだが、頂上付近では雪が降る事もある。
Tシャツにショートパンツ、ビーチサンダルという格好で車に乗って山頂に着き、外に出てブルブル震えている、という観光客も多い。
スタンリー・キューブリックが監督した名作映画『2001年宇宙の旅』の、見事な月のシーンの一部は、ハレアカラの広大なカルデラの中で撮影された。
また、アメリカの航空宇宙局(NASA)は、かつて人類を月へと送るミッション(アポロ計画)において、宇宙飛行士の月面訓練を、ハレアカラの山頂付近で行った。
ハワイ先住民にとって、ハレアカラは古来聖地であり、信仰の対象でもあった。
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"ハレ"とは"家"、"カラ"は"太陽"。
"ハレアカラ"とは、ハワイ語で"太陽の家"という意味である。
こんな神話がある。
ある時、いたずら好きで半分神様、半分人間という大男マウイが、山の頂から姉の髪の毛で編んだ縄を投げ、空に輝く太陽を捕まえてしまった。
動けなくなった太陽は困り果て、マウイに懇願する。
「お願いです。
私を、離してください」
だが、いたずら好きのマウイは、笑ってその様子を見てるだけ。
時間が経ち、ついにマウイはある条件付きで解放してやろうと、太陽に語りかける。
「太陽よ。
いいか、よく聞け。
これから毎日、出来るだけゆっくりと、空を横切るんだ。
そして、ハワイの島々に出来る限り長く、沢山の光を降り注ぐんだ。
ハワイを、いつもお前の光で、いっぱいにするんだぞ」
半分神様、半分人間のいたずら好きな大男マウイのおかげで、ハワイ諸島はいつも眩しい太陽が輝く、常夏の楽園となった、という神話だ。
いつしかハワイの人々は、大男マウイのシンボルである大きな山を、ハレアカラ(太陽の家)と呼ぶようになったという。
[ハレアカラ]
マウイ島最高峰ハレアカラの山頂は、標高およそ3055メートル。
頂上付近には沢山の天文台が並び、雪が降り積もる事もある。
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ハレアカラは、3000メートルを超える山の上まで車で行けるという、世界的にもユニークな国立公園である。
麓の海辺の町パイエアから山頂付近までは、1時間半ほどのドライブ。
山には雲がかかっている事が多いが、心配はいらない。
ハレアカラの山頂は、雲よりも上にあるので、行けばほぼいつも晴れている。
頂上付近には、世界最大級のカルデラがある。
[カルデラ]
息を呑む眺めとは、まさにこの広大、巨大なカルデラの風景だろう。
スタンリー・キューブリック監督が、『2001年宇宙の旅』のワンシーンを撮ったという、その理由がよく分かる。
カルデラの淵に立つと、自分が月面か火星にいるような、そんな気分になる。
ハレアカラ山頂で臨む、夕日の美しさ、荘厳さ。
大空が、刻一刻とグラデーションを変えていく、そのドラマティックな眺めは、到底言葉にならない。
朝早く、真っ暗なうちに山頂へやってきて、寒さに震えながら待ち続けて見る、ハレアカラ・サンライズも、格別なものだ。
[朝日]
雲海が燃えるような赤に包まれ、やがて朝日が顔を出す。
写真を撮る事を忘れるほど、感動的だ。
あれほど寒かったのに、ひとたび太陽が上がると、気温はぐんぐん上昇し、陽が当たって体全体がポカポカしてくる。
まさに、ハレアカラ。
太陽の家にいる気分だ。
【画像出典】