「新しい空の旅へ」
今週は、『JET STREAM in HAWAII』。
様々な人や場所、伝統に息づく物語を、お送りします。
今夜は、マウイ島への旅。
ハワイは山がいい、と言ったら、意外だろうか?
しかし、本当なのだ。
例えば、カウアイ島なら、コケエ州立公園。
映画『ジュラシック・パーク』の撮影地でもあった、その巨大な緑の渓谷には、熱帯雨林の森が広がり、無数の滝が流れ落ちる。
数日かけてトレイルを歩けば、山の頂から、人が誰もいない美しい浜辺へと至る。
ハワイ島なら、噴煙の上がる世界遺産、ハワイ火山国立公園。
黒い溶岩大地の上を歩いて、海へと流れ落ちる赤い溶岩流を見に行く。
ハワイは、山がいい。
マウイ島なら、アップカントリーと呼ばれる山あいに滞在し、早朝まだ暗いうちに車を走らせ、マウイ最高峰ハレアカラの山頂へ。
雪が降る事もあるこの山の上で見るご来光は、荘厳で美しい。
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海辺にリゾートホテルが数多く立ち並ぶマウイ島だが、アップカントリーと呼ばれる山あいにも、素敵な宿がいくつもある。
朝食が素晴らしいベッド&ブレックファーストや、暖炉に火が灯る小さな山岳リゾートホテルだ。
常夏のハワイだが、山の上では、朝夕は冷え込む。
山の森の中で、小さな宿を営むあるオーナーはこう語る。
「ハワイで上着を着て、夜暖炉に火をつけて、のんびりと過ごす。
私は、これこそ最高の贅沢。
極上のハワイの過ごし方、だと思うね」
標高3000メートルを超えるハレアカラ。
その中腹に2つ、可愛い高原の町がある。
1つが、マカワオ。
もう一つが、クラ。
マカワオは、ハレアカラ山頂へと上がっていく道の途中にある、小さな町。
[マカワオ]
海辺はとても暑いが、マカワオへやってくると空気は涼しく、夕方になれば、薄手のフリースを羽織らずにはいられない。
小さな町には、端から端まで歩いて2分もかからないメインストリートがあり、その道の両側にオーガニックの食料品店、新鮮なデリ、雑貨屋などが並ぶ。
どれも小さな商店だが、目利きが選んだ品が揃う、良質な店ばかりだ。
マカワオは田舎町だが、シュタイナー教育の学校やアートスクールがあり、外国人も多く暮らしている。
芸術家、音楽家のコミュニティーもある。
そんなマカワオから、もう少し山を上がったところに、クラという町がある。
クラは、クラ野菜と呼ばれる高級ブランドになるほど、オーガニック野菜で有名な場所だ。
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マウイ最高峰ハレアカラの中腹にあるマカワオの事を、マウイの人たちは"パニオロ・タウン"と呼ぶ。
"パニオロ"とは、ハワイアン・カウボーイの事だ。
ハワイには各地に牧場があり、カウボーイ(パニオロ)が沢山いる。
マカワオの街の外には牧場が広がり、牛や羊が放牧されている。
街のブティックや雑貨屋に入れば、カウボーイやカウガールをモチーフにしたデザインの物が、いくつもある。
[カウボーイグッズ]
カウボーイブーツ、カウボーイハットも沢山売っている。
マカワオから10分ほど山を上がると、牧場の風景は無くなり、代わりに辺りには小さな農園がいくつも現れる。
クラは、オーガニック野菜で有名な町だ。
[クラ]
通称クラ野菜は、今ではアメリカの高級ブランド野菜でもある。
ロサンゼルスやサンフランシスコ、ニューヨークからも注文が入るという。
例えば、ニューヨークの人気レストランの今日のメニューに、こんな風に書かれている事もあるだろう。
「マウイ島のアップカントリー、クラから直送のオーガニックケールのサラダ」
マウイは、山がいい。
マカワオ、あるいはクラの小さな宿に泊まって、夜は上着を羽織って、小さなその町の小さなレストランへ行き、採れたてのクラのオーガニック野菜と、マカワオのグラスフェッドビーフで作られたハンバーガーに、舌鼓を打つ。
3度目、4度目のハワイなら、そんな過ごし方もいい。
【画像出典】