"ドナウの真珠"と讃えられる、ハンガリーの都ブダペスト。
早朝、ドナウ川の岸辺を歩いていると、白い煙が出ている所をよく見かける。
温泉から湧き出る、白い湯気だ。
ハンガリーは、ヨーロッパでもよく知られた温泉大国。
ここブダペストでは、118もの源泉からお湯が湧き出し、大小合わせると50を超える温泉施設がある。
これを、無類な風呂好きで知られる古代ローマ人が見逃すはずがない。
紀元前1世紀には、ここを占領。
アクインクムと呼ばれる古代都市が築かれた。
現在、この古代ローマの温泉文化を受け継ぐのが、ブダペストの市民公園の中にある、セーチェニ温泉。
壮大で豪華、アミューズメントパークのような、ヨーロッパで最大の温泉施設だ。
[セーチェニ温泉]
このセーチェニ温泉、最初に造られた建物は1913年というから、既に100年を超える歴史ある温泉。
広大な敷地内には、屋外の温泉プールが3ヶ所、屋内の風呂は15ヶ所。
[屋内風呂]
よほどハンガリーの人々は温泉が好きなのだろう、朝6時から営業している。
温泉は男女混浴、裸で入ってはならない。
ハンガリーの温泉には、前を隠すだけのエプロンのような布切れを貸してくれる所もあるが、ほとんどの人は水着で入る。
ネオ・バロック様式の建物や、白い裸婦像、噴水のように噴き出す温泉。
隣では、チェスに興じる二人連れがいる。
[チェス]
ここセーチェニ温泉の名物は、チェス。
温泉プールの中には、いくつものチェス台がしつらえてある。
真剣にチェスを指す人、それを見物する人。
青空の下、温泉に浸かりながらのチェスの試合は、一層熱を帯びる事だろう。
【画像出典】