2021/2/17 ほうれん草 | 福山機長の夜間飛行記録

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月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

今では一年中食べられるようになったほうれん草だが、旬の季節は冬。

冬に収穫されるほうれん草は、夏に比べてビタミンCが3倍も多いという。

このほうれん草、パリの市場で見かけた方は、さぞ驚かれる事だろう。

日本に比べて驚く程大きく、葉っぱも肉厚。

[フランスのほうれん草]

あまりに大きいので、束ではなく量り売りされている。

しかもほうれん草の茎には苦味があるので、茎を取るのがフランスの主婦にとっては一仕事。

街のスーパーでは、葉っぱだけが切り取られてパック売りされている。

ところでほうれん草はフランス語で"エピナール(épinard)"だが、レストランのメニューにはエピナールではなく、"フロランティーヌ(フィレンツェ風)"という名が付く。

例えばほうれん草入りのオムレツは、"オムレット・ア・ラ・フロランティーヌ"だ。

"フィレンツェ風"と呼ばれる理由。

それは、フィレンツェの貴族メディチ家からフランスに嫁いできた王妃、カトリーヌ・ド・メディシスがほうれん草が大好きだったからである。

[カトリーヌ・ド・メディシス]

このカトリーヌ程、フランス料理に大きな影響を与えた人物はいない。

美食家だったカトリーヌは、フィレンツェからお抱え料理人を引き連れて嫁ぎ、当時最先端のフィレンツェ料理を伝えた。

しかも、料理だけではない。

当時フランスでは、王族達も手掴みで食べていた。

カトリーヌは、それまでフランスには無かったナイフとフォークを使って、洗練された食事マナーで料理を食べてみせたという。

今もほうれん草の料理に"フィレンツェ風"と名が付くのは、そのカトリーヌが残した偉大な遺産である。

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