マルタ共和国は、マルタ、ゴゾ、コミノの3つの島と、2つの無人島から成る小さな島国。
全ての島の面積を合わせても、日本の淡路島の半分程の大きさだ。
しかしながら"文明の十字路"とも言われる程、古代からの歴史を刻む国。
マルタ島にある首都バレッタは"ルネサンスの理想都市"と呼ばれ、街全体が世界遺産になっている。
ここバレッタが建設されたのは、16世紀。
オスマン帝国の攻撃を防ぐために、聖ヨハネ騎士団によって築かれた要塞都市である。
街の中心に立つ聖ヨハネ大聖堂に入ると、色とりどりの大理石が床一面に敷き詰められている。
その400を超える大理石は、このマルタ島を勇敢に戦い守った騎士達の墓だ。
バレッタの街を高台から眺めると、地中海の柔らかな日差しを浴びて、蜂蜜色に輝いている。
家々が全てマルタストーンと呼ばれる、蜂蜜色の石灰岩で造られているからだ。
マルタ島の家には、必ずガラリヤという名の突き出たバルコニーがある。
赤や青、黄色と鮮やかな色に塗られたこのガラリヤ。
夏はとても日差しが強く湿気が多いマルタ島で、家の中に涼しい潮風を効率よく取り込む、暮らしの知恵だという。
ここバレッタの石畳の路地を歩いていると、馬に乗った騎士達が今にも駆け抜けていくようだ。
路地裏にあるオープンカフェの椅子の上で、春の陽を浴びて、猫がのんびりと昼寝を決め込んでいる。
21世紀の今、蜂蜜色の整然とした町並みに、平和で穏やかな時が流れている。
【画像出典】