毎度の如く韓国ドラマをぼーっと眺めていると、

一体どう捉えたらいいのか分からない代物にあたってしまいました。

 

「今、別れの途中です」( 2021-22 SBS )

アパレル企業デザインチーム長 ハ・ヨンウン(ソン・ヘギョ)と、年下のファッション専門フォトグラファー "Mr.J" ユン・ジェグク(チャン・ギヨン)の純愛もの。

 

設定と配役から思わずもう、えっ?

 

似た設定の

「先輩、その口紅塗らないで」( 2021 JTBC )

化粧品会社勤務のユン・ソンア(ウォン・ジナ)と、後輩社員チェ・ヒョンスン(ロウン [ SF9 ] )のオフィス系ラブロマンスは、時機が近く企画被りとしても…

 

「先輩、その口紅塗らないで」は、ここから2回にわたり取りあげました。

 

第一線で活躍する女性と年下男の組み合わせはソン・ヘギョの前作

「ボーイフレンド」( 2018-19 tvN )とそっくり同じ。

 

ホテル代表チャ・スヒョン(ソン・ヘギョ)と、新入社員キム・ジニョク(パク・ボゴム)という違いはあれど、双方に主要アイテムとしてカメラと写真が登場します。

 

しかも ソン・ヘギョの姑相当役が

「今、別れの途中です」「ボーイフレンド」共にチャ・ファヨン。

どちらも夫に先立たれたお金持ち設定なので、容姿や雰囲気がそっくり。

 

更に ソン・ヘギョの母親役が

「今、別れの途中です」「ボーイフレンド」共にナム・ギエ。

加えてソン・ヘギョの前々作「太陽の末裔」( 2016 KBS2 )でも母親役の三連投。

 

そしてチャン・ギヨンといえば

「恋愛ワードを入力してください(検索語を入力してください WWW)」( 2019 tvN )

「恋愛ワード… 」を、ここから6回に渡り延々と取りあげました。

 

こちらも、キャリアウーマン(イム・スジョン)に一途な年下音楽クリエイター(チャン・ギヨン)という組み合わせ。

 

おまけにチャン・ギヨンの役どころが「恋愛ワード… 」「今、別れの… 」どちらも、海外居住歴が長く母国の風習に無頓着という似かよった設定。

 

 

 

何だか、デジャヴをあらかじめ誘う仕掛けみたいに思えます。

それとも、あえて新機軸を狙わないのが真の意図?なんて邪推をしたくなります。

 

また、ストーリー面でも??が連発。

 

一例をあげるとドラマ序盤

提携を要望する企業が列をなす世界的ファッションデザイナーのオリビエくん、ファッション専門フォトグラファー "Mr.J" にご執心。

 

「ワタクシの作品には "Mr.J" の色彩とアングル… 」

 

「雰囲気を自由に操る『彼の技』が必要なのだ」

 

「"Mr.J" は、このオリビエさまが必ず手に入れてみせる」と息巻きます。

オリビエくんが

ヤマザキマリの漫画「テルマエ・ロマエ」みたいというのはさておき

 

気まぐれな "Mr.J" ユン・ジェグク(チャン・ギヨン)はある偶然から、ハ・ヨンウン(ソン・ヘギョ)が勤務する、オリビエとの提携を目論むファッションブランドの写真を撮ることに。

 

"Mr.J" ユン・ジェグクが駆使するカメラが、韓国ドラマ界を席巻する「キャノン( Canon )」ではなく少数派の「ライカ( Leica )」

ファッション専門フォトグラファーに似合う選択かも。

 

余計なことですが、この SL 系ミラーレス一眼ボディとスーパー・バリオ・エルマー超広角ズーム SL レンズの組み合わせ、約200万円と超高額。

 

"Mr.J" ユン・ジェグクの最新作を携え訪れたヨンウンに、木で鼻をくくる対応のオリビエくん。

「キミのデザインもまあまあ悪くはないが(契約先はもう他に決めたのさ)」

 

するとそこに "Mr.J" が登場。

 

放置された写真を片付け

 

「ぼくの写真なら(オリビエに)きっと気に入ってもらえると思っていたけれど、単なるうぬぼれに過ぎなかったようですね。」

 

「こ、これを撮ったのが "Mr.J"? あ、あなたの作品 だったなんて!」と驚愕するオリビエくん。

時すでに遅し。

 

「ワタクシの作品に絶対必要な『彼の技』」に気付かない世界的ファッションデザイナー?

 

ファッション業界で熱意を持って働くひとたちのお話なのに、所詮虚名が飛び交うばかりで技術も審美眼も関係無いといきなり看破して良いのかぁ?

 

「デザイナーなのに見る目がない」とオリビエくんに言い放った訳ではありませんが、

 

「ぼくの写真」に気付いてもらえない "Mr.J" もまた、作品性とは関係無いネームバリューによる虚飾に過ぎないとなってしまいます。

 

うーん、この出オチ感というか何というか。

舞台装置そのものを批判するアヴァンギャルドでは無さそうなのに、物語をいきなり蹴飛ばし迷走させてしまいます。

 

このドラマ、こうした微妙な不協和音が随所に見られるのですが、

続きはどうしようかなあ。