前回から引き続き
「運命のように君を愛してる」( 2014 MBC )がお題。
過去の日本の放送版でほとんど差し替えられた、OST 以外の挿入曲を探しています。
3年が経ち、物語は第二部というか後半へ。
第13話、イ・ゴン(チャン・ヒョク)の会社のシャンプー CM 撮影現場。
冒頭に流れるのは
1944年のジョニー・マーサー( Johnny Mercer ) のスタンダード曲
「ドリーム( Dream )」
おそらくロイ・オービソンのバージョン( 1963 )
( Roy Orbison - Dream )
ロイ・オービソンといえば、韓国ドラマに流れるオールディーズ曲の筆頭格。
特に映画「プリティ・ウーマン」( 1990 )のテーマ曲
「オー・プリティ・ウーマン」( 1964 )は他を圧倒する別格のトップです。
( Roy Orbison - Oh, Pretty Woman )
シャンプーのCM モデルが、パク・ジュンヒョン。
1999年デビューの韓国アイドルグループ第1世代「 god 」のメンバー。
ちなみに「 god 」は略語で、読みは「ゴッド」ではなく「ジーオーディ」。
読める読めないが、世代差ネタに使われます。
また、パク・ジュンヒョンとチャン・ヒョクは親交が深く、1999年のデビュー曲「お母さんへ」の MV にチャン・ヒョクが出演しています。
( 지오디 god - 어머님께 )
01' 13"
ゴンの登場場面に「お母さんへ」が使われ、MV の一部が映ります。
この場面は3年前の第1話冒頭、広告モデル ヘジン(クララ)とゴンのやり取りと対になっています。
また、ヘジンの対応は、「星から来たあなた」( 2013-14 SBS )で意に沿わない撮影を要求されるチョン・ソンイ(チョン・ジヒョン)が、マネージャーに不満をぶつける場面の微妙なパロディにもなっています。
次も13話から
"エリー" キム・ミヨン(チャン・ナラ)の展覧会で、身元を隠そうとするあまり余計に怪しくなってしまうゴン。
冒頭に流れるのが、フランス製アニメ「ガジェット警部」( 1983 )のテーマ曲。
( The Towenda Choir Orchestra - Inspecteur Gadjet Theme )
バナナの皮で滑って転び死亡した警部が、全身にひみつ道具(ガジェット Gadget )を装着した、サイボーグ「ガジェット警部( Inspecteur Gadjet )」として復活するというトンデモな設定。
第14話
初めて言葉で対峙する、ゴンとダニエル・ピット(チェ・ジニョク)
ホテルロビーに流れるスタンダード系 BGM まで差し替える周到さは、恐れ入谷の鬼子母神。
とはいえ、こうした小さな違いは意外なほど気付きます。
第15話
植物園で鉢合わせてしまう "エリー" キム・ミヨンとゴン。
02' 40"
突然の雨にコートを被り駆け出すふたり。
映画「ラブストーリー(クラシック 클래식 )」( 2003 )
サンミン(チョ・インソン)とジヘ(ソン・イェジン)の再現。
最も残念な差し替えと、個人的に感じました。
映画に流れる
「自転車に乗った風景」の「君にとって僕は 僕にとって君は」( 2001 )も再生する大サービスだったのに。
( 자전거 탄 풍경 - 너에게 난, 나에게 넌 )
こうした場面で感じるのが、ドラマ制作陣のソン・イェジン出演作に対する関心の高さ。
前回の記事「恋愛体質」( 2019 JTBC )でも
映画「私の頭の中の消しゴム」( 2004 )
「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」( 2018 JTBC )が引用されています。
小ネタも仕込んであります。
第19話 02' 00" から
ミヨンに気付かないふりをしたゴンが「チャン・ナラ?」と叫びます。
この箇所はただそれだけの事です。
同じく第19話 01' 06" から
突然艶めかしい雰囲気になったふたりの BGM は
ニール・セダカが 1960年にリリースした「君こそすべて」
( Neil Sedaka - You Mean Everything to Me )
きみは僕の人生
僕の運命
僕の最愛のひと
きみを愛してる
きみは僕の全て…
という最愛のひとに向けた賛美のメッセージ
ドラマタイトル「運命のように君を愛してる」に掛けているのかも。
ダニエルがミヨンに想いを伝え、同時に歌で別れを告げる場面。
あまりにも露骨な差し替えに、全く別の意味でやり切れない気分に陥りました。
オリジナル版がこちら。
「いつか楽園で(皇太子の初恋 황태자의 첫사랑 )」( 2004 MBC ) OST 曲
ソン・シギョンが歌う「その日から」
( 성시경 - 그날 이후로 )
その日から僕は
何時だって君に申し訳ないと
たった一日でも君を
忘れるかと心配したのに
君がいないくなっても
時には笑い生きる僕を
知るのが悲しい
取り出すには辛い記憶が
心の中には今もあるのに
もう 君はいない…
みたいな感じです。
ちなみに「いつか楽園で」は事前の期待に反し視聴率が低迷、早期終了したと噂される「黒歴史」級に忘れられたドラマです。
ところが皮肉なことに OST 曲だけは印象に残り、「その日から」に加えもう一曲、
ナ・ユングォンの「僕だったら」
( 나윤권 - 나였으면 )
「え、この曲って OST だったの?」とびっくりされる代表といわれています。
ドラマもいよいよ大団円
第20話、回想場面に流れるのが
チャン・ナラの歌う「カタツムリ」
( 장나라 - 달팽이 )
ミヨンを象徴する「カタツムリ」のいわばセルフカバー?
オリジナルは「パニック」が1995年にリリースした「カタツムリ」。
( 패닉 - 달팽이 )
第4話、第7話にオリジナルバージョンが流れます。
おまけ
歌手でもあるチャン・ナラは、ドラマでの歌唱シーンがしばしば話題となります。
例えば
「ゴー・バック夫婦」( 2017 KBS2 )
学園祭のステージで
イム・サンア( 임상아 )の「ミュージカル」( 뮤지컬 1996 )を歌うマ・ジンジュ
02' 06" から
( 장나라 - 뮤지컬 )
埋込再生不可のため Youtube でご覧ください。
「皇后の品格」( 2018-19 SBS )
王室主催のレセプションでスピーチ代わりに「アリラン」を歌うオ・サニー
( 장나라 - 아리랑 )
「皇后の品格」は「運命のように… 」と微妙に被ります。
平凡な庶民のチャン・ナラが、ある日突然別世界に嫁ぐ。
「運命のように… 」財閥、「皇后の品格」王室
また、援助者が同じ顔ぶれ。
王室警護隊隊長 ナ・ワンシク = チョン・ウビンが「運命のように… 」ダニエルのチェ・ジニョク
義祖母がどちらもパク・ウォンスク
"大王大妃"の御前で「アモールファティ」を披露するオ・サニー。
( 장나라 - 아모르 파티 )
「オー、マイベイビー」( 2020 tvN )
従姉妹の結婚式で
ホン・ジニョン( 홍진영 )の2009年のヒット曲
「愛のバッテリー」( 사랑의 배터리 )を歌うチャン・ハリ
( 장나라 - 사랑의 배터리 )
今回のお題は、取りあえずここまでです。