絶好のお出かけ日和だというのに、何故か古い韓国ドラマばかりを眺めています。

まあ一年中そうだろうとの噂も根強いのですが。

 

今回のお題はラブコメディの傑作といわれる、

「運命のように君を愛してる」( 2014 MBC )

 

見返し始めると、何というか微妙に違和感があるのです。

もしかすると、昔観た放送版はかなりカットされていたのかも。

 

そんな事を考えていたら、放送版の録画 DVD を発掘したので新旧比較。

すると違和感の正体はカットではなく、主に BGM の違いと分かりました。

過去の放送版は OST (オリジナル・サウンド・トラック)盤収録曲以外が、ほとんど差し替えられていたのです。

 

うーん、制作者の意図を無視する大幅な差し替えって一体…

とはいえ、日本放送版韓国ドラマあるあるに過ぎないのですが。

 

それではここから MBC が Youtube に UP したハイライトシーンを基に、オリジナル版の凝った構成の BGM を再確認したいと思います。

 

まずは第1話、

"猛犬"に追われるイ・ゴン(チャン・ヒョク)とキム・ミヨン(チャン・ナラ)

 

実は、この場面の流れがかなりのお気に入り。

 

冒頭から 00' 55" まで

アニメ版「バットマン」テーマ曲

( BATMAN "The Brave And The Bold" Opening Theme )

 

そこからしばらく OST のインストルメンタル曲

「 Agnes 」

 

02' 40" から

行き止まりに追い詰められ、反撃を決意するゴンに乗り移るのは…

「推奴(ちゅの)」( 2010 KBS2 )のイ・テギル

のっけから、チャン・ヒョクのセルフパロディという大技をかまします。

ハイテンション場面の定番曲「変えろ( Change )」

( Gloomy 30's - 바꿔  )

 

第4話 01' 45" から

捕らわれの姫?を救出するハードアクションは…

 

映画「アイアンマン」( 2008 )テーマ曲

( Ramin Djawadi - IRON MAN "Driving With The Top Down" )

韓国はいわゆるマーベル・コミックの人気が高く、ドラマに限らずバラエティ番組などにもよく登場します。

アメリカン・サブカルテャーの受容度の違いから、大衆文化について考えてみるのも面白そうです。

 

同じく第4話 02' 20" から

情緒不安定となり、医師に相談するゴンがうわ言のようにつぶやく「カタツムリ」。

 

場面に似合わない、のんびりした曲が流れます。

「パニック」が 1995 年にリリースした、その名も「カタツムリ」

( 패닉 - 달팽이 )

 

「カタツムリ」はミヨンを象徴するキャラクター。

 

「カタツムリ」は第7話 01' 57" から

帰ってこないミヨンを、ゴンがやきもきしながら待つ場面でもかかります。

 

第5話に戻り

夜中にお腹が空き、ヤンプンビビンバ*1 をかき込むミヨン

*1 「ヤンプンビビンバ」( 양푼비빔밥 )は、食事の支度が面倒な時や、夜中のヤケ喰いの定番。

 

「ヤンプン」とは、金属(主にステンレス)製ボウルのこと。

これにご飯、あり合わせのおかず-主に野菜のナムル、コチュジャン、ゴマ油、海苔、目玉焼きなどを入れてよくかき混ぜます。

具が足りない時には、ツナ缶を加えます。

 

キムチを混ぜるのは意見が分かれるようですが、入れずに添えるのが主流のようです。

01' 10" から、

怪しい雰囲気を感じ取るゴン

( ANZELL - Darkness )

「ダーク・ミュージック」と呼ばれるジャンルがあるらしい事以外、この曲についてはよく分かりませんでした。

02' 55" ホラーな光景に思わずのけぞるゴン

スラッシャー映画「フレディ VS ジェイソン」( 2003 )のテーマ

( Graeme Revell - Nightmare Theme )

 

第6話、ミヨン母(ソン・オクスク)の友人の宴会に乱入。

カラオケで盛り上がります。

 

ゴンが熱唱するのは、パク・サンチョルが 2005年にリリースした「無条件」

( 박상철 - 무조건 )

歌詞を適宜変えて歌われる、韓国のカラオケ定番曲。

ミヨンとのデュエット曲は、「チョリとミエ」が 1993年にリリースした「君は何故」

( 철이와 미애 - 너는 왜 )

 

このデュエット場面に隠し画というか、微妙な仕込み。

02' 07" - 13" カラオケ画面と見せかけ、こんな映像が差し込まれています。

これはチャン・ヒョクが 2000年頃、「 TJ プロジェクト」名で音楽活動をしていた時のもの。

 

上のクリップでは切れていますが、母たち一行を見送った後のセリフ。

 

「ミヨンさんは歌が上手いんだね、歌手になれそうだ。」

「ゴンさんのラップも本格的で、最高でした。」

「いやあ、昔ちょっとした"プロジェクト"に関わったことがあってね。」

 

こうして伏線を回収します。

 

チャン・ナラは 2001年に歌手デビューし、ヒット曲多数。

「トンイ」( 2010 MBC )の主題歌「チョネジア」にも参加。

( 장나라 - 천애지아 )

 

こちらがチャン・ヒョク「 TJ Project 」の「Hey Girl 」

( TJ 프로젝트 - Hey Girl )

 

続いて第7話 01' 40" 

突然産気づいてしまうミヨンの次姉キム・ミジャ(イ・ミド)。

 

絶体絶命の瞬間に流れるのが…

「白い巨塔」( 2007 MBC )のメインテーマ「 B Rossette 」

この曲は、緊張感が極限に達した時などに今でもよく使われます。

 

「白い巨塔」は山崎豊子が 1963年から1965年にかけ、「サンデー毎日」に連載した長編小説。

 

1966年、田宮二郎主演の大映映画

1967年、佐藤慶主演の NET (現 テレビ朝日)ドラマ

1978年、田宮二郎主演のフジテレビドラマ

1990年、村上弘明主演のテレビ朝日ドラマ

2003年、唐沢寿明主演のフジテレビドラマ

2006年、中国テレビ公社ドラマ

2007年、キム・ミョンミン主演 韓国 MBC のテレビドラマ

2019年、岡田准一主演のテレビ朝日ドラマ

 

と、度々映像化されています。

このようにオリジナル版 BGM は、相当な遊び心にあふれていました。

 

でも、自分で始めておいて言うのも何ですが、字幕(セリフ)や画像なら高速再生で十分探せますが、音絡みは等倍再生するしか手がありません。

そのため、チェックに思いの外時間がかかってしまいました。

 

なので一旦、ここまでです。