まあ毎度のごとく、タイトルに大層な意味はありません。

ちょっとひねくれた気分で始めたいようです。

 

今回のお題は「女神降臨」( 2020-21 tvN )

 

漫画原作の影響か、容姿偏重が過ぎる物語に正直なところあまり共感できませんでした。

 

止め画の漫画に比べ、実写ドラマでは登場人物の心情が反映しやすくなります。

そのため漫画なら表面化しない、内面や想像力を欠く人物の無邪気な残酷さが、実写ではより際立ったりします。

 

などとぶつくさ言いながら、すみっこばかりを眺めます。

 

物語冒頭、注釈抜きでいきなり登場する「給食室のお兄さん」ヒョンビン(イ・テリ)

「偶然見つけたハル」( 2019 MBC ) 「給食室のお兄さん」ミチェのセルフパロディ。

 

4話、主人公スホ(チャウヌ)が、映画館でカップルを間違える場面。

間違われるのが「偶然見つけたハル」のダノ(キム・ヘユン 左)とギョン(イ・ジェウク 中)。

 

ただイ・ジェウクを見ると、「恋愛ワードを入力してください(検索語を入力してください WWW )」( 2019 tvN )の劇中劇、「義母さまはいったいなぜ!」 のクズ婿ミニョクを連想してしまいます。

 

「義母さまはいったいなぜ!」について詳しくはこちらで

 

「偶然見つけたハル」からもうひとり。

15話、ヒロインのジュギョン(ムン・ガヨン)が人違いするナムジュ(キム・ヨンデ)。

落としたジュースを拾い、「私の彼女はイチゴが大好きなのです」という共通のセリフ。

 

この「私/僕の彼女は○○が大好きなのです」も、様々に流用されるセリフ。

[ チェ/ネ ヨジャガ ○○ルル チョアハムニダ 「 제/내 여자가 ○○를 좋아합니다. 」 ]

 

更に「偶然見つけたハル」ドファ(チョン・ゴンジュ)が、野球部のエース投手ヒョンジン。

7話、ジュギョンに言いたいことを一方的に告げ「窓から飛び出したり」

 

「傘越しに姿を現したり」と大忙し。

 

「窓から飛び出す」「傘越しに姿を現す」元祖は、伝説的恋愛映画「オオカミの誘惑」( 2004 )のテソン(カン・ドンウォン)。

 

冒頭から 2'50" あたりまで(全体は 9'35" )

「オオカミの誘惑 名場面 ( 늑대의유혹 명장면 ) 」

ショートバージョン( 31" )

この流れはもう、数えきれないほど模倣されてきました。

 

この傘の定石をようやく破ったのが、「トッケビ」( 2016-17 tvN )のキム・シン(コン・ユ)。

 

傘に隠された無表情という新機軸を打ち出しました。

ところが今度は、傘といえば殆どがこちらに。

 

「トッケビ」つながりでもうひとつ。

 

 2話、ジュギョンの姉ヒギョン(イム・セミ)が、

 

ジュギョンの担任、ジュヌ先生(オ・ウィシク)を見つける場面が「トッケビ」そのまま。

 

同じメロディまで流れます。

Lasse Lindh - Hush ( Goblin OST Part 3 )

 

「女神降臨」パロディリストはまだ続きます。

 

ジュギョンの弟ジュヨン(キム・ミンギ)がオートバイにまたがり、妄想に浸るのが「愛の不時着」( 2019-20 tvN )。

 

ジュヨンの脳内で展開しているだろう、疾走するリ・ジョンヒョク大尉(ヒョンビン)。

 

日本での権利を NETFLIX が保有しているため、動画が見つけにくい。

56'40" のダイジェスト 23'50" あたりから

 

ジュヨンに思い切り冷や水を浴びせる、姉ジュギョン。

 

子どもがこうなら親もまた。

8話、妻ヒョンスク(チャン・ヘジン)に掛けられた水を、体を張って防ぐ夫ジェピル(パク・ホサン)。

 

気分はもう「星から来たあなた」( 2013-14 SBS )

 

9話、居候がバレないようテーブルの下に慌てて隠れるのは、映画「パラサイト 半地下の家族 (寄生虫)」( 2019 )。

 

引き続き映画ネタ。

7話、奥手なスホに、怪しげな恋愛術を伝授する友人のテフン(イ・イルジュ)。

 

このやり取りは、映画「建築学概論」( 2012 )のナプトゥク = 納得くん(チョ・ジョンソク 左)譲りの伝統芸。

 

映画「建築学概論」は以前ネタにしております。ただし盛大にネタバレ。

 

ついでにもうひとつ、

相談に来たジュギョンに好き放題言い放つ怪しい美容外科医が、映画「カンナさん大成功です!(美女はつらいの)」( 2006 )のイ・ゴンハク先生(イ・ハヌィ)。

 

「カンナさん大成功です!」は、鈴木由美子による 1997-99年の日本の漫画作品。

韓国での映画化に続き、2009年に日本でも映画化。

 

美容形成により変身したヒロインが巻き起こすドタバタラブコメディという要素以外には、それぞれストーリーが異なるという複雑さです。

 

韓国映画版のクライマックス、ジェニー = ハンナ(カンナ)が熱唱するブロンディ( Blondie )の「マリア ( MARIA )」

ヒロインを演じたキム・アジュンを、一躍スターダムに押し上げた場面。

 

スターの代役というモチーフは古く、「雨に唄えば( Singin' in the Rain )」( 1952 )のキャシー(デビー・レイノルズ)が嚆矢かな。

 

などなど。

全く、ドラマの何を見ているのやら。