薩南の島々をくまなく飛び回ってくれた、日本エアコミューター(JC *1 /JAC)の「サーブくん」こと SAAB340B ですが、いよいよ引退の日が近付いてしまいました。

 

屋久島空港を出発する、JA8703号機。

 

*1 「JC」; JAC の当初の IATA 2レターは「3X」。「JC」はJALエクスプレス(JEX/JC)が使用。

2014年 JAL と JEX の統合後、JAC が「JC」を受け継ぎました。

 

余談ですが、JAC は「日本 エア コミューター」。そして沖縄の空を飛ぶ RAC は「琉球 エアー コミューター」。「」があったり無かったり、ちょっとややこしい。

 

 

 

36席のサーブくんの小さな機内、ほぼ全景。

 

CA さんと話をしていると、「機体が小さいせいで、夏場はすぐ暑くなるのが弱点で… 」

 

「なので、うちわは必須アイテムですっ!」

 

安全のしおりを、うちわ代わりにするのは止めましょう(笑)

 

 

 

窓のすぐ傍でぶんぶん回るプロペラ。

 

「GE製 CT7-9B エンジン、ダウティ・ロートルのペラ、絶好調ですっ!」

 

もの好きには、このダイレクト感がたまりませんでした(^^ゞ

 

 

 

サーブくんズのベース、鹿児島空港(KOJ/RJFK) RWY34 を離陸しました。

 

 

鹿児島を象徴するランドマーク、桜島を飛び越えます。昇るのは雲か噴煙、どちらでしょう。

 

桜島を通過する際、ひょいっと翼を下げてくれたりします。小粋だなあ。

 

 

薩摩半島の南端近く、海にせり出す開聞岳。

 

 

 

サーブくんの、ちょっときしむ華奢なエアステア。幾度昇り降りしたでしょうか。

 

 

大勢のお見送りを受け、サーブくんが出発します。

実は、異動する先生をお見送りする大勢の生徒さんたちです。

搭乗機はサーブくん、JA8594号機でした。(その時の様子はこちら

 

 

 

のべ11機在籍した JAC「サーブくんズ・イレブン」も、2019年10月末現在、3機を残すのみ。

 

JA8703号機 ’94年01月登録、現役最古参

JA8594号機 ’96年07月登録、HAC 北海道エアシステム(NTH)に出張中。

JA002C号機 ’99年09月登録、JAC 最終号機

 

運航路線も、11月は鹿児島(KOJ/RJFK)⇔種子島(TNE/RJFG)線だけ。

ただ、喜界(KKX/RJKI)線のバックアップに入る可能性があるようです。

そして、11月30日のスペシャルフライトを最後に退役します。

 

追記; ATR の9号機、JA09JC の納入遅れが決定したため、予定に変更があるかもしれません。

 

 

 

残るは北の大地、HAC 北海道エアシステム(NTH)の「トリオ de サーブず」の3機。

JA01HC号機、2011~17年のオリジナル塗装。

 

HAC トリオ de サーブずも、2020年度から順次退役の予定。*2

JAC、HAC のサーブくんたちは、ATR42-600/ATR72-600 にその役を譲ります。

 

*2; 12/22、HAC の ATR42-600 初号機 JA11HC が ATR 社のテストレジ F-WKVG号機として鹿児島空港(KOJ)に到着。暫くは習熟飛行を行い、2020年03月29日、路線デビューの予定。

ATR 社から、鹿児島までの飛行ルート

12/18 仏・ツールーズ (TLS) ⇒ ギリシャ・イラクリオン (HER クレタ島)

12/19 ギリシャ・イラクリオン (HER) ⇒ オマーン・マスカット (MCT)

12/20 オマーン・マスカット (MCT) ⇒ インド・ナーグプル (NAG)

12/21 インド・ナーグプル (NAG) ⇒ タイ・ドンムアン (DMK)

12/22 タイ・ドンムアン (DMK) ⇒ 台湾・松山 (TSA) ⇒ 鹿児島 (KOJ)

 

 

JAC の ATR72-600 JA06JC号機は、ATR 1,500機目のメモリアル機。

 

再び CA さんとの会話、「頑丈そのもののサーブ機と比べると ATR 機は多少ひ弱な子で、特に長胴の ATR72 は、降機時に尻餅をつかないよう調整が必要なので、気を使います。」

 

まだまだ新人の ATR くんですが、やがて立派に成長してくれる事でしょう。

 

 

 

 

以下、個人的な SAAB340B の備忘録。

 

JAC サーブくんズ・イレブンは以下の面々。(JA 登録順)

 

01.JA8886 (s/n 281) ’92/02-’16/04退役 JAC初号機

個人的には28回搭乗した、同一機材最多搭乗機でした。(詳しくはこちらで

種子島空港(TNE/RJFG)を出発するJA8886号機。2014年撮影なので塗装がサンアーク。

 

JA8886号機は N281CL を経由し、現在バハマのスカイ・バハマ(Q7/SBM) C6-SBM号機

 

 

02.JA8887 (s/n 308) ’92/08-’15/03退役

 

 

03.JA8888 (s/n 331) ’93/02-’18/06 ユタ信託銀行所有の N331CL号機として整備保存されていましたが、最近「Aviation Inventory Resources」に転売されたようです。

 

 

04.JA8703 (s/n 355) ’94/01-最終現役機1/3

 

 

05.JA8642 (s/n 365) ’94/12-’19/04退役

現在クック諸島、エア・ラロトンガ(GZ/RAR) E5-EFS(2号機)

 

奥に下記 JA8649号機。現在 E5-SMW号機(1号機)。

 

 

06.JA8704 (s/n 361) ’95/01-’17/06退役 現;米国、ユタ信託銀行所有 N361CL号機

C&L Aviation にて展示販売中。

 

 

 

07.JA8649 (s/n 368) ’95/06-’17/12退役 

現在はクック諸島、エア・ラロトンガ(GZ/RAR) E5-SMW号機(1号機)

 

 

08.JA8900 (s/n 378) ’96/01-’19/08退役 現;米国、C&L Aviation VH-BCP号機

 

 

 

09.JA8594 (s/n 399) ’96/07-最終現役機2/3 HAC に出張中(12月JACに復帰)

 

 

10.JA001C (s/n 419) ’97/06-’18/11退役 現;米国、ユタ信託銀行所有 N419CL号機

C&L Aviation にて展示販売中。

 

 

11.JA002C (s/n 459) ’99/09-最終現役機3/3

 

 

 

四国、松山空港のスタッフの皆さんに見送られ、出発します。

 

 

 

JAC サーブくんズ・イレブンには80回搭乗、HAC トリオ de サーブずには12回搭乗。

計92回は、同一機種最多搭乗搭乗記録です。(ちなみに第2位は B777-200の78回)

 

唯ひとつ残念なのが JA002C号機だけには何故か縁が無く、JAC サーブくんズ・イレブン、コンプリートならずで終わりそうな事。

 

兵庫県但馬や島根県出雲、四国の徳島や松山、鹿児島から島伝いに与論島まで。

近畿、中国、四国、九州のあっちこっちに連れて行ってくれた、JAC サーブくんズの引退はとても残念です。

 

とはいえ、27年に渡り大過なく飛び続けたJAC サーブくんズ・イレブン、改めてありがとう。

 

 

 

「ドアロックを確認、出発準備完了しましたっ!」

 

「ぶいぃ~ん!サーブくん、離陸しますっ!」

 

喜界空港を離陸する、SAAB340B JA8886号機。