これは、私が5年近くも飛ばし続けている、White wings「レーサー530S」という滞空競技用ペーパーグライダー(紙飛行機)です。
※胴体はバルサ材
御覧のように、飛行機というよりはまるで飛び魚のような形をしていますね。
設計したのは紙飛行機設計に於いて世界的権威の、二宮康明(にのみや・やすあき)博士という先生です。
このレーサー530Sは、紙飛行機滞空競技の全国大会「ジャパンカップ」はじめ、競技会で勝つ為に開発されました。
うまくセッティングするのが非常に難しくデリケートといわれる反面、セッティングが決まった時の性能は群を抜きます。
ペーパーグライダーは手投げか専用ゴム・カタパルトを使って空中に発進しますが、他の機体が緩やかにカーブを描きながら上昇するのに対し、ゴム・カタパルトから放たれたレーサー530Sはロケットのような垂直上昇をし、瞬く間に高高度に達します。
極端に長さの短く後退した主翼は、そのとてつもないハイスピード上昇時に於いても風圧に負けてフラッター(波動・振動)を起こすことはありません。
さらに、長い胴体と大きめの尾翼が滑空飛行への移行を実にスムーズに行い、しかも一旦滑空飛行を始めるとピタッ!と微動だににしない空中安定性を魅せてくれます。
まさに、魔法のような機体です。
「レーサー530S」は、2007年に滞空競技用特選機としてAG社から発売されました。
ちなみに、この機体に定められた重心位置は御覧の通り↓
なんと、95%!!
辛うじて主翼内に収まっているような感じです。
ちなみに機首先端内部にはバラスト=オモリ(小型のワッシャー)が入っていて、指定された重心に合わせて調整するようになっています。
紙飛行機を始めとするフリーフライト機では、このように後退した重心設計は決して珍しいものではありません。
中には主翼から外れ、テール・ブームまで重心が後退している機体もあるくらいです。
理由としては、前回申し上げたように機体の水平状態を自律で保ちながら長時間滞空する為。
それに不可欠なのが、上向きの揚力(浮く力)を持った水平尾翼。そして、長めのテール・ブーム(主翼から尾翼までの胴体部分)です。
上向きの揚力(+揚力)を持つ水平尾翼の在り方は、水平尾翼そのものに翼型を与える方法、エレベーター部分の調整を施し+揚力を発生させる方法、水平尾翼の取付角を+揚力側に設定する方法、そして水平尾翼面積を大きめにとる方法などがあります。
レーサー530Sは御覧の長いテール・ブームと、主翼面積に対して通常の機体より大きめにとった水平尾翼面積がうまくマッチングされ、急上昇時及び水平滑空時の安定性を両立させているのです。
さすがに二宮先生、見事な設計だと感じます。
このように、競技用ペーパーグライダー・レーサー530Sはフリーフライト機特有のセッティング法を具視化したような機体とも言えますが、厳密に考えると2チャンネル・ラジコン機「フライング・フィッシュ」にもノウハウが生かされる可能性もあります。
前回のコメント欄にてO軍曹さんにも御提案頂いた「水平尾翼の+揚力を上げる」件は、フライング・フィッシュの安定性を高める為に有効と考えています。
フライング・フィッシュの縦方向安定を改善する為に、私は重心位置の調整そのものに固執してしまっていました。内部メカの移動で重心を前方に設定しようと試んでいましたが、スペース上の理由で無理だとわかりました。
そこでバラスト(小さな粒状の鉛)を少量づつ機首に積んで重心移動を試みましたが、実際飛ばしてみると今度は機体重量そのものが増加したせいか、動力飛行はマシでしたが滑空飛行で急降下気味となってしまい、悩んでいたのです。
これから行う予定のフライング・フィッシュ水平尾翼セッティング変更は、ラジコン・フリーフライト問わず私の航空趣味において少なからず有意義な影響を与えてくれることと期待しています。
<レーサー530Sの飛行。紙飛行機とはいえ、5年経った今でも遜色ない性能です>