F1、フェアレディZ、VWバハ、そしてカウンタック。

スペアボディばかりが出てきてシャーシーや車輪が無い。
はずされたのか、最初からボディだけなのか判らないが、見た目は新品だ。

「これチョロQです。こういうのは他に無いですか?」
と訊いて見たが、
「ああこういうの…もうね、忘れちゃったのよ。主人じゃないとわかんないんですよ」
「今日はいらっしゃらないんですか?」

「・・・・主人はね、亡くなったの・・・・」

「えっ?・・あ、・・・・そうでしたか…」
言葉に詰まった。
鎌倉の友人がここへ来たのは半年くらい前の事だ。
この数ヶ月の間に逝去されたらしい。
小声で言う「そうですかぁ・・・」以外の言葉が見つからず、
しばらく黙ったまま立ちすくんでいたら、
「お兄さんはこのあたりの人?」
と訊かれたので、
「いえ東京の方です」
と答えた。
「ああそうなの、遠いとこから来たわね」
「ぁ・・・、はい・・・」
「電車で来たの?」
「いや車です」
「あ車、そりゃ遠かったでしょうね」
「まあ、そうですね・・・」
見つけたスペアボディだけ買って帰ろうと思ったが、
何か店から出づらい感じになってしまった。
すると店主のおばあさんは
「お兄さん時間あるんならお茶飲んで行きなさいよ」
と言って奥に戻って行った。
「あっ・・・いや・・・」
急いではいたが、まあいいかと思い、縁台に腰をかけて
お茶が出て来るのを待つことにした。
続く。



