「リカちゃんキャッスル行かない?」
人形コレクターの人から、その存在は聞いてはいたが、
何故この彼がリカちゃんのお城に行きたいのか、最初は解らなかった。
しかし話を良く聞くと、中は博物館のようになっていて、
チョロQを含む歴代のタカラ玩具が展示されているという。
そういう事なら行かねばなるまい。
「リカちゃんキャッスル」
旧タカラの福島工場跡地に建てられた、博物館を兼ねた城型の人形工場である。
当時はタカラいわき工業の管轄化にあった。
電話が来た日から数日経った平日の早朝、友人に車で迎えに来てもらい、
リカちゃんキャッスルのある福島県に向かった。
常磐道で、いわき中央ICまで行き、あとは地図を見ながら少しずつ進んでく。
現在は磐越自動車道小野ICから5分と近いが、
それまでは、いわき中央で常磐道を降り、
細い一般道路を地図を頼りにして行くしか方法が無かった。
数キロ毎に、色褪せたリカちゃんキャッスルの立て看板があったが、
それを見逃せば完全に迷う。
途中、工事中の道を迂回させられて迷う事もあった。
そんな状況の中で、慎重に探していたら、遠くの方に、
とんがり帽子の屋根を発見。
「あ、たぶんあれだ」
高速を降りて約40分、退色した雑な案内板だけを頼りにして、
ようやく目的地に到着した。

平日午前中の為、駐車場に他の車は無い。
平日の朝から来る人はなかなかいないのだろう。
そんなガラガラの駐車場の隅に車を停めて、中に入ってみる事にした。
チケットを購入して入り口から入ると、巨大な等身大リカちゃんと、
数百体の同じ服を着たリカちゃんに出迎えられた。
中には売店があり、発売したばかりのジェニーフレンド「ジュリアナ」が、
スピーカーから流れるジュリアナ東京のレイヴサウンドと共に
大きく展示されている。


キャッスルの工場で働く職員の服を着たリカちゃんや、
その他の限定物も並んでいた。
売店はあとでゆっくり見る事にして、展示コーナーへ足を進めた。
基本的にはタカラ製の人形の歴史がうかがえる展示内容なので、
やはり人形が多い。
かつて姉が持っていた人形と同じ物が、
ショーケースにいくつも並べられている。
窓から下を覗きこむと、人形工場が見えた。
国内生産の人形はここで製造されているらしい。
奥へ進むと、今度は男児玩具の展示室が見えてくる。
タカラだけでなく、いろいろなメーカーの玩具が展示され、
多くのキャラクターで賑わっていた。ポピーの超合金の金型まである。
タカラの物は、GIジョーや変身サイボーグ、ミクロマン、ダイアクロン、
トランスフォーマーらが、シリーズや年代を考えずに展示されている。
博物館として、この展示は如何なものだろうかと、少し不満ではあったが、
残された数少ない在庫での展示ではこのような見せ方しか出来ないのだろう。



しかし後ろを振り返ると、壁一面の展示什器に、
豆ダッシュからのチョロQがビッシリと並べられていた。
(当時はあまりの量に圧倒されて気にならなかったが、
今思い返すとチョロQの展示もバラバラだったと思う)

2人とも、整然と並べられたこれだけのチョロQを、
一度に目の当たりにするのは初めての経験だ。
「すげーなぁ」と唸るばかり。
展示品には、当時の改造コンテストの作品も数多く並んでいる。
友人が
「この改造してあるやつって元は何だったんだろね?」
というので、シャーシーを下からのぞきこんで見てみると、
「テクノチョロQ」という文字が見えた。

「テクノチョロQって何だ?知らないな?」
「80年代だからYMOとか関係あんのかな?」
「すえっ子みたいなチョロQあるよ」
「おぉこれも見た事ないねぇ、何で出来てんだろな?七宝焼きか?」
「全部で何台あるかね?」
「軽く500…いや1000…は無いけどそれに近いな」

などと、誰もいない展示室で2人だけで盛り上がっていた。
後に試作品と判るが、改造品なのか試作品なのか判らないような
手作りの物もあり、ここに並んでいる物は、80年代前半の物ばかりだった。
続く。