Bar BAKER お気に入り盤紹介319。 | 「Bar BAKER(バー・ベイカー)」のブログ。

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日野市・豊田駅北口「Bar BAKER(バー・ベイカー)」店主のブログです。ウイスキー、ジン、カクテルなど、こだわりの洋酒と音楽。落ち着いた空間で、一息つきませんか?
おひとりさま、初めての方、女性の方も、お気軽にどうぞ。

7月も最終週になりました。連日の猛暑と雷で不安定な日々が続いていますが、よい形で締めくくって8月に繋げていきたいものです。みなさま、応援よろしくお願いします。

 

本日(28日)は、日曜日ですが当店は通常営業しています。暑そうですが、お時間がございましたら、一息つきに来ませんか? お待ちしております。なお、来週の日曜日(8月4日)は、お休みをいただく予定であります。

 

ここで、久しぶりに音楽ネタでも。このところ、JOAO GILBERTO(ボサノヴァ)、JEFF BECK(ロック)と番外編が続きましたが、今回は普段のジャズ路線に戻って、7月生まれの名手2人の共演による人気盤を取り上げてみたいと思います。

 

 

CANDY / LEE MORGAN / BLUE NOTE

 

1956年、交通事故により夭折してしまった天才トランぺッター、CLIFFORD BROWNと入れ替わるように、ジャズ界に颯爽と現れた天才少年、それがLEE MORGANでした。MORGANは、まだ18歳という若さでしたが、巧みなブレスとリップ・コントロール、早吹きを可能にする素早いフィンガリング、そして、バルブを下まで押し切らずに途中で止めることで音に変化をつけるハーフ・バルブ奏法などを駆使して、自由奔放なアドリブを縦横無尽に吹きまくる、トランぺッターとしてほぼ完成されたテクニックを持っていました。1958年からは、ART BLAKEY(ドラムス)が率いた人気バンド、THE JAZZ MESSENGERSに在籍し、BENNY GOLSON(テナー・サックス)とともに、フロントマンとしてバンドの人気を牽引する存在でした。本作は、MORGANが吹き込んだ数多くのアルバムのなかで唯一のワンホーン・カルテットによる録音で、彼のトランペットを堪能するのに最適な1枚です。メンバーは、LEE MORGAN(トランペット)、SONNY CLARK(ピアノ)、DOUG WATKINS(ベース)、ART TAYLOR(ドラムス)によるカルテット編成で、1957~58年にかけての録音であります。収録曲では、まず何と言っても冒頭のタイトル曲「CANDY」は必聴です。ドラムロールのあと、MORGANのトランペットで曲に入りますが、冒頭の2音、歌詞でいうと、~candy, I call my sugar, candy~の最初のcandyの部分ですが、この出だしの2音がたまらなく魅力的なんですよ。この軽妙洒脱な音色はMORGANにしか出せないよなと、聴くたびに思います。その他を見ると、「C.T.A.」、「PERSONALITY」といったミドル~アップ・テンポの軽快な曲から、「SINCE I FELL FOR YOU」、「ALL THE WAY」などのしっとりとしたバラード曲まで、MORGANの繰り出す輝かしい音色のトランペットに耳を奪われますが、その後ろで堅実に支えているのは、CLARK、WATKINS、TAYLORという名手3人によるリズム隊です。CLARKは大人気盤「COOL STRUTTIN’」でもお馴染みの名ピアニスト、WATKINSは初代JAZZ MESSENGERSのベース奏者としても知られる名手、TAYLORはJOHN COLTRANE、RED GARLANDなど、数多くのミュージシャンから重宝されたドラマーです。そして、改めて驚かされるのは、本作録音時のMORGANは、まだ19歳だったということです。まだ10代の少年がこんなアルバムを生み出すことができたなんて。この後のMORGANは、THE JAZZ MESSENGERSでフロントマン、コンポーザーとして大活躍した後に脱退、1960年代半ばにはジャズに8ビートを取り入れた、いわゆるジャズ・ロックの旗手としても活躍しますが、1972年、33歳のときに不慮の死を迎えることになります。円熟味を醸し出す前に亡くなってしまったため、いつまでも若々しい輝きに満ちたイメージがありますが、もっと長生きできていたら、どんな演奏をしてくれたのか、想像してみるのも楽しいですね。

 

今回は、7月生まれの名手2人、LEE MORGAN(7月10日生まれ)、SONNY CLARK(7月21日生まれ)による共演盤を取り上げてみました。2人とも若くして亡くなってしまったのが残念ですが(CLARKは31歳没)、60年以上経った現在でも聴き継がれる名盤を生み出してくれたことに感謝したいです。8月は僕の大好きなエヴァンス先生の誕生月でもあるので、BILL EVANSをたくさん聴き込みたいと思います。

 

Bar BAKER

 

日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107