さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、1950年代に組んでいた相方との2度目の再会セッションで、大会場でのライヴ録音であります。

「CARNEGIE HALL CONCERT」 (CTI)
CHET(トランペット、ヴォーカル)、GERRY MULLIGAN(バリトン・サックス)の2人をフロントに据え、BOB JAMES(ピアノ)、RON CARTER(ベース)、HARVEY MASON(ドラムス)のリズム隊を加えたクインテット編成を中心に、曲によっては、JOHN SCOFIELD(ギター)、DAVE SAMUELS(ヴィブラフォン)、ED BYRNE(トロンボーン)が加わり、1974年の録音であります。GERRYとCHETの2人は、50年代の初頭にピアノレス・カルテット(GERRY MULLIGAN QUARTET)を組んで活動しており、大変な人気を博していました。トランペット、バリトン・サックス、ベース、ドラムスのシンプルな編成ゆえに、余白が多くスリリングな演奏が繰り広げられていました。グループの崩壊後、57年の暮れに、pacific jazzレーベルに吹き込まれた「REUNION」などの再会セッションが行われていますが、その17年後に再度行われた再会セッションが本作であります。当初希望されていたピアノレス・カルテットの再現はGERRYが拒否したため、人数を増やした編成になっています。時を経て、CHETもGERRYもプレイに円熟味が出ていますが、複雑に絡み合いながらも決して互いの邪魔はしていません。リズム隊では、堅実に刻み続けるCARTERのベースが聴きものですが、JAMESが曲によってローズ・ピアノを弾いているのも、いいアクセントになっています。収録曲のなかでは、穏やかなメロディ・ラインが印象的な「LINE FOR LYONS」、十八番のバラード「MY FUNNY VALENTINE」、ピアノレス・カルテットの初録音曲でもある「BERNIE’S TUNE」など、やはり50年代の曲の再演が聴き応えがあります。ラストを飾る「THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU」では、温かみのあるCHETのヴォーカルも聴けます。エゴが強く、外の世界に向き合っていたGERRYと、自分の内面の奥深くに向き合っていたCHET。人間的には正反対で相性の悪かったGERRYとCHETですが、そんな彼らの造りだす音楽は見事な調和がとれているところが面白いですね。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107