さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。現在、リオ・オリンピックが開催されていますが、今回の盤はブラジルの歌姫との共演盤を取り上げてみました。オリンピックの開会式で演奏されていたあの曲も収録されていますよ。

「THE GIRL FROM IPANEMA」 (brilliant)
1960年代に一世を風靡したボサノヴァ・ブームを象徴する1人でもある歌手、ASTRUD GILBERTO(ヴォーカル)のアルバムにCHET BAKER(トランペット、ヴォーカル)がゲスト参加したもので、FRANK OWENS(ピアノ)、GENE BERTONCINI(ギター)、JAY BERLINER(ギター)、RON CARTER(ベース)、RONNIE ZITO(ドラムス)、RUBENS BASSINI(パーカッション)によるセプテット編成で、編曲にDON SEBESKYを迎えており、1977年の録音であります。そもそも、ボサノヴァを創始したANTONIO CARLOS JOBIM(ピアノ、ギター)、JOAO GILBERTO(ギター)といったブラジルの天才たちは、CHET BAKERの大ファンで、50年代当時のブラジルでは手に入れにくかったCHETのレコードを仲間内で取り合うようにして聴いていたそうです。本作の主役のASTRUDも昔からCHETの大ファンで、抑揚の少ない鼻唄のようなボサノヴァ独特のヴォーカル・スタイルはCHETの影響も感じられます。64年頃からのボサノヴァ・ブームの火付け役にもなった曲「THE GIRL FROM IPANEMA」で、ヴォーカルを取っていたのがJOAOとASTRUDのGILBERTO夫妻で、その作曲者であり、ピアノを演奏していたのがJOBIMです。本作では、ASTRUDが永年の夢であったCHETとの共演を果たしています。彼女自身が書いた「FAR AWAY」というバラード曲をデュエットで唄い、CHETのトランペットも入っています。「CONCIERTO DE ARANJUEZ(アランフェス協奏曲)」を彷彿させる出だしで、メロディ・ラインは美しいです。ASTRUDは、「自分の書いた曲でCHETとデュエットできて感激だった。間違いなく、自分のキャリアのハイライトのひとつだわ」と当時を回想しています。CHETは参加していませんが、その他の収録曲をみると、70年代後半の流行りを映して、ディスコ調の曲が多くなっています。タイトル曲の「THE GIRL FROM IPANEMA」やスタンダード曲の「LOVE FOR SALE」までディスコ調にアレンジしてあるのは違和感がありますが、「ALL I’VE GOT」というオリジナル曲は、キレのいいディスコ・ビートが心地よく響く1曲であります。軽めのアレンジの曲が多く、味わいには欠けていますが、ディスコ・ビートに鼻唄スタイルのヴォーカルが絡んでいるのは面白いですよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107