さて、今回はCHET BAKERへ捧げられたレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、ドイツのトランぺッター兼ヴォーカリストによる吹き込みで、CHETへのトリビュートではないものの、彼の愛奏曲を多く取り上げており、影響の大きさを伺わせる1枚であります。

「COME DANCE WITH ME」 (yvp)
ANNETTE NEUFFER(フリューゲルホーン、ヴォーカル)、CLAUS KOCH(テナー・サックス)をフロントに、BERNHARD PICHL(ピアノ)、RUDI ENGEL(ベース)、HENDRIK SMOCK(ドラムス)を加えたクインテット編成で、2001年の録音であります。主役のANNETTEは、CHETの影響を色濃く感じさせるトランぺッター兼ヴォーカリストで、以前紹介記事を書きましたが、CHETへのトリビュート・アルバム「THE ART OF CHET」(yvp)も吹き込んでいます。本作でも、冒頭の「STROLLIN’」や「IT’S YOU OR NO ONE」、「I’M OLD FASHIONED」など、CHETのレパートリーを5曲、取り上げています。彼女のヴォーカルは、中性的とも言われるCHETのスタイルと比べると、音の抑揚はかなりありますし、声のトーンもやや低めです。また、今回のレコーディングでは、トランペットではなくフリューゲルホーンを吹いています。トランペットをひとまわり大きくしたような形状で、トランペット奏者がやわらかな表現を求めて持ち替えることが多い楽器です。CHETも1960年代の半ばはフリューゲルを吹いていました。他のメンバーについては、CLAUSのテナー・サックスは、名手、STAN GETZを連想させるようなやわらかい音色です。リズム隊もキレがよく、「MY HEART STOOD STILL」など、アップ・テンポの曲も心地よいですし、ベース・ソロから始まる「I’M OLD FASHIONED」も格好いいです。個人的に最も気に入っているのは、冒頭のヴァースも美しいバラード曲、「STARDUST」です。スローでしっとりと奏でられ、ANNETTEのヴォーカルも味わい深く、聴き応えがありますよ。ANNETTEには、トリビュート作である「THE ART OF CHET」と本作の他に、もう1枚CHET色の濃いアルバムがありますので、またの機会に紹介してみたいと思います。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107