さて、今回はCHET BAKERへ捧げられたレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤はイタリアの女性歌手と、ジャス界の重鎮ともいえるピアノの名手との共演盤であります。

「MOONLIGHT BECOMES YOU」 (philology)
イタリアで人気の女性歌手、MICHELA LOMBARDIによるトリビュートで、演奏陣はRENATO SELLANI(ピアノ)、MASSIMO MORICONI(ベース)、STEFANO BAGNOLI(ドラムス)によるピアノ・トリオ編成で、2008年の録音であります。MICHELAは本作の前にもCHETへ捧げるアルバム(以前、紹介記事を書いた「STARRY EYED AGAIN」)を吹き込んでおり、CHETに対する思い入れがかなり強いようです。ピアノを弾いている大ベテランのRENATOとは、彼が主催するジャズ・ワークショップを受講して出会ったそうです。彼女は、ジャズの歌唱は即興演奏のようなもので、メロディ・ラインを変えて原曲の中から新たな唄を生み出すものだと思っていたそうですが、RENATOと出会って、シンプルでよく知られた曲も生まれ変わりうることを信じるに至ったようです。本作でも原曲のもつ美しいメロディを大きく崩さずに唄っています。とくに、スロー・テンポで奏でられる「STAR EYES」は美しいですよ。また、「YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO」では、CHETがかつて吹き込んだトランペットのアドリブ・パートに歌詞をつけて唄っています。「FOR ALL WE KNOW」では、MATTEO BRANCALEONIという男性歌手とデュエットしています。RENATOのピアノは、音数は控えめで実に味わい深く、ヴォーカルとピアノのデュオによるタイトル曲「MOONLIGHT BECOMES YOU」では美しさが際立っていますし、冒頭の「AREN’T YOU GLAD YOU’RE YOU?」では骨太なベースとの絡みも素晴らしいです。本作はサブタイトルが「THINKING OF CHET VOL.1」となっていて、翌日に吹き込んだ「同VOL.2」の姉妹盤「STILL IN MY HEART」というアルバムもありますので、またの機会に紹介してみたいと思います。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107