さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、晩年のレギュラー・バンドによる息の合ったライヴ録音であります。

「STROLLIN’」 (enja)
CHET(トランペット、ヴォーカル)、PHILIP CATHERINE(ギター)、JEAN-LOUIS RASSINFOSSE(ベース)によるドラムレス・トリオ編成で、1985年の録音であります。PHILIP、JEAN-LOUISともに、当時のレギュラー・メンバーで、何年も一緒にやってきた仲間です。主役のCHETは調子がいまひとつのようで、冒頭の「SAD WALK」の出だしは弱々しいですが、演奏が進んでいくにつれて音に艶が出てきます。ドラムレス編成の場合、ベース奏者のリズム・キープが重要になります。JEAN-LOUISは76年の暮れからCHETと共演しているため、音楽的相性もいいです。CHETはドラムレス編成におけるリズム・キープに優れたベース奏者の1人として、JEAN-LOUISの名を挙げていましたが、アップ・テンポでもスローでも、安定したリズムを刻みながら見事なベース・ラインを聴かせてくれます。晩年の定番レパートリーとなっていた「LOVE FOR SALE」では、引っかかったような変拍子気味のベース・プレイから、アップ・テンポの4ビートに切り替わる部分がスリリングですよ。ギターのPHILIPは、饒舌でありながらも、CHETやJEAN-LOUISのためのスペースは残した演奏をしており、トリオの一体感が感じられます。また、演奏とは関係ありませんが、ジャケット写真の美しさについても触れておくべきかと思います。「砂漠の上に浮かぶ月」といった構図になっていますが、CHETの最晩年に撮ったドキュメンタリー映画「LET’S GET LOST」のために録音した「MOON & SAND」を連想させますね。残念ながら同曲は本作には収録されていませんが。ライヴ録音ゆえに調子の出ない曲もあったりしますが、ミドル・テンポのタイトル曲「STROLLIN’」や、定番のバラード曲「LEAVING」などは、聴き応えがありますよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107