さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、MILES DAVISを意識したような選曲で、ストレートなジャズに真っ向から挑んだ1枚であります。

「ONCE UPON A SUMMERTIME」 (galaxy)
CHET(トランペット)、GREGORY HERBERT(テナー・サックス)の2人がフロントを取り、HAROLD DANKO(ピアノ)、RON CARTER(ベース)、MEL LEWIS(ドラムス)を加えたクインテット編成で、1977年の録音であります。MEL、HAROLD、GREGORYの3人は、当時、THAD JONES(トランペット)と一緒にグループを組んでいました。このレコーディングに誘われたMELが仲間を連れてきたわけです。流暢なピアノで盛り上げるHAROLDは、この録音の半年ほど前まではCHETのバンドでしばらくの間レギュラー・ピアニストを務めていたため、CHETとの相性もよく、本作における主役の1人といってもいいでしょう。RONは、MILES DAVIS(トランペット)の第2期クインテットのメンバーとして有名なベース奏者ですが、CHETとの共演も本作の他にも数枚あります。曲目をみると、冒頭の「TIDAL BREEZE」は、HAROLD作曲の軽快なオリジナルで、晩年のCHETの主要レパートリーのひとつでした。また、CHETにしては珍しくミュート(弱音器)を使った演奏が2曲入っており、「SHIFTING DOWN」ではミドル・テンポに乗せたクールな演奏が聴けますし、11分にも及ぶ「ONCE UPON A SUMMERTIME」では繊細なバラード・プレイが存分に堪能できます。いちばんの聴きどころは「E.S.P」でしょう。MILES DAVISの第2期クインテットによるモード・ジャズの有名曲ですが、そのオリジナル・メンバーであるRONがベースを弾いていることもあり、本作とMILESのオリジナルを聴き比べてみると興味深いですよ。CHETとMILESのトランペットの比較だけでなく、リズム隊の聴き比べも面白いです。個人的には、本作の録音のほうが若干ホットな演奏をしているような感じを受けます。このレコーディングのために集まったメンバーではありますが、CHETとの共演歴のある2人が参加していることで、単なる寄せ集めとは異なり、ある程度のまとまりが感じられる演奏でありますよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107