さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、ベテラン・ピアニストとのデュオによる繊細な1枚で、北欧のレーベルへの録音であります。

「DIANE」 (steeplechase)
たまたま同時期に北欧に滞在していたカナダ出身のPAUL BLEY(ピアノ)と、CHET(トランペット、ヴォーカル)によるデュオ編成で、1985年の録音であります。このころ、CHETはスウェーデンでライヴ・ツアーをしていて、PAULはデンマークに滞在していたのですが、この2人を共演させてみたいと思ったプロデューサーの意向で実現したのが、このレコーディングでした。以前のライヴでの共演経験から、PAULとは音楽的相性がよくないとわかっていたCHETは、当初デュオで吹き込むことには難色を示したそうです。実際、スタジオに入って1曲演ってみたところ、PAULが派手にピアノを弾きすぎたため、演奏がまったく噛み合わなかったようですが、PAULに「音数を抑えて、CHETのためのスペース(間)を残すように」と指示を出したところ、その意図を理解したPAULが演奏スタイルを改めたそうです。その結果が本作なのですが、冒頭のスロー・テンポに落とした「IF I SHOULD LOSE YOU」から、繊細極まりないトランペットとピアノによる素晴らしい演奏が繰り広げられています。「YOU GO TO MY HEAD」のみ、ヴォーカルも披露していますが、他はCHETのトランペットを大きくフィーチャーしています。バラード曲が並ぶなか、中ほどで1曲だけ入るアップ・テンポの「PENT-UP HOUSE」が、いいアクセントになっていますが、ラストの「LITTLE GIRL BLUE」まで、透明感あふれる繊細な演奏が続き、実に聴き応えのある1枚であります。また、アルバム・タイトルになっているのは「DIANE」という曲ですが、当時のCHETの恋人でソプラノ・サックス奏者でもある、DIANE VAVRAに捧げる意味もあったようです。少人数の編成を好んだCHETは、他にも何枚かデュオ録音も残していますが、本作は会心の出来ですよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107