さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、あまり売れなかったものの、CHET自身は気に入っていた1枚であります。

「BABY BREEZE」 (limelight)
CHET(フリューゲルホーン、ヴォーカル)、50年代からの旧友、PHIL URSO(テナー・サックス)、FRANK STROZIER(アルト・サックス)の3人がフロントを務め、HAL GALPER(ピアノ)、MICHEL FLEMING(ベース)、CHARLIE RICE(ドラムス)によるリズム隊を加えたセクステット編成をメインにしており、1964年の録音であります。一部の唄ものでは、KENNY BURRELLのギターが入ったり、ピアノがBOB JAMESやBOBBY SCOTTに替わったりします。60年代半ばのCHETは、トランペットではなく、フリューゲルホーン(トランペットを太くして一回り大きくしたような楽器)を吹いています。これは、フランスのクラブで愛用のトランペットを盗まれてしまい、急遽、友人から譲り受けたのがフレンチ・セルマー製のフリューゲルホーンだったのですが、その音色をとても気に入って使い続けていたからです。通常、トランペット奏者がフリューゲルホーンを使うのは、柔らかい音色を求めて持ち替える場合が多いのですが、CHETの場合はもともと柔らかい音色なので、あまり大きな違いはありません。曲目をみると、冒頭のタイトル曲「BABY BREEZE」はマーチのリズムが心地よく耳に残る演奏です。半数を占めるヴォーカル曲ではCHETの甘いヴォーカルが堪能できますが、なかでも「THE TOUCH OF YOUR LIPS」は、晩年まで愛奏し続けました。楽器のみのインストで奏でられる「I WISH YOU LOVE」は、繊細な音色のフリューゲルによる美しいメロディが印象的ですが、ヴォーカル入りも聴いてみたかったなぁとも思いますよ。60年代半ばは、MILES DAVISらのモード・ジャズや、LEE MORGANらのジャズ・ロックなど、新しいスタイルの音楽が台頭してきており、昔ながらのロマンチックなスタイルのCHETのアルバムは受けがよくなかったようですが、本人も気に入っていたことからもわかるように、なかなかの好演揃いで、聴き応えがありますよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107