さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、意外な組み合わせとも思える、ピアノの名手との共演盤であります。

「LEE KONITZ MEETS KEITH JARRETT,CHET BAKER & BILL EVANS」 (jazz view)
旧友、LEE KONITZ(アルト・サックス)と、CHET(トランペット)の2人がフロントを務め、KEITH JARRETT(ピアノ)、CHARLIE HADEN(ベース)、BEAVER HARRIS(ドラムス)という豪華なリズム隊を加えたクインテット編成で、1974年の録音であります。タイトルのなかにBILL EVANS(ピアノ)の名前がありますが、KONITZとEVANSの共演が1曲プラスされているだけで、CHETやKEITHと共演しているわけではありません。メンバーのなかで注目すべきは、やはりピアノのKEITH JARRETTでしょう。当時のKEITHは、ピアノ・ソロのアルバムを発表して、新世代のピアニストとして名声を高めつつあった時期です。若さにあふれた勢いのあるプレイで、例によって唸りながら弾いていますが、ピアノの響きの美しさは既に一級品であります。逆に、この当時のCHETは、トラブルで歯を失ってから、リハビリを経てジャズ界に復帰して間もない時期で、プレイにもあまり輝きがありません。冒頭の「DONNA LEE」では、早いフレーズも決まっており、CHET、KONITZ、KEITHと続く、アドリブ・ソロも、それぞれ聴き応えがあります。「LOVER MAN」では、繊細なバラード・プレイが堪能できますし、その他には、「THERE’LL NEVER BE ANOTHER YOU」、「LIKE SOMEONE IN LOVE」といったCHETの愛奏曲を演っています。ただ、演奏はスリリングなのですが、セッションでの顔合わせということもあり、グループとしてのまとまりは全くありません。その原因になっているのは、主張の強すぎるKEITHのピアノであることは間違いないでしょう。CHETは、出しゃばりすぎるピアニストは好まなかったため、KEITHとの共演は本作1枚のみであります。KEITHを加えたメンバーで、いつものレパートリーを演っているという点で、興味深い1枚でありますよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107