睡眠時無呼吸症候群の治療のための下顎手術(SSRO、BSSO) - 専門医が直接説明します
[気道が広くなって交合が正常になりました]
今日はいびきがひどくて楽に眠ることができず、
これによって日常生活まで支障を受けた患者さんの下顎手術、SSROあるいはBSSOを受けた患者さんの話です。
単純に顎無しがひどいからといって来院しました。
しかし、単純に顎だけ後退されているのではなく、全般的に顎が小さいです。
前にも説明しましたが、単純下顎後退症(Retrognathia)というのがあり、
下顎矮小症(Micrognathia)というのがあります。
正確に定義されておらず、下顎の角、枝垂直の長さなどと全体的な顔の大きさなどを総合して相対的に診断します。
治療法もそれぞれ決まっていますが、
私の場合、なるべく大きな手術をせずに小さな手術で大きな手術効果を出せるようにお勧めします。
もちろん、小さな手術で大きな手術の効果を出すためには、様々な方法を複合的に行います。
そのためには手術者がすべての手術方法を熟知していなければならず、
これを利用して最大限の効果を上げるためのノウハウがなければなりません。
もちろん、BBSOやSSROもすべての手術過程に1時間はかかりません。
顎先の前進術は20分前後ですべての過程が終わります。
ただ、できれば小さな手術で大きな手術効果を出せるならもっといいですね^^
このうち下顎後退症については、すでに何度もお話しましたね。
以下のリンクをクリックすると、動画で見ることができます。
しかし、今回ご紹介するのは症状がひどい場合です。
まず手術前の写真です。
側面写真を見ると、顎が後ろにひどく後退していて、下顎の角からの枝垂直の長さも短いです。
そのため、咬合もずれています。
専門用語でOverjetとも呼ばれます。
位置が下の歯よりたくさん出ています。
ところが、単純に下顎が小さく後ろに後退されている現象だけでなく、
ひどいケースの睡眠時無呼吸症候群を患っています。
拡大した写真です。
[青い丸の中の気道を術後の写真と比較して 赤い丸の中の咬合も比較してください]
なので単純に顎の先端前進術だけをするには 効果が少ないと予想され、
下顎を全体的に前進させるBSSOもしくはSSROをすることにします。
それに効果を加えるために、このオトガイ舌筋を含む顎の先を別途で前進させる手術を同時に行います。
つまり, 1) Advancing SSRO(Sagittal Split Ra mus Osteotomy) 2) Advancing Genioplasty 3) Genioglossus muscle advancementを同時に施行します。
手術にかかった時間はSSRO:45分、
顎先前進術:15分で、
合計1時間かかりました。
正面から見ると、顎無しがはっきり見えませんが、それこそ下顎が小さく見えます。
下顎が小さくて後退していると、ある程度まではかわいい童顔のイメージを与えることができますが、ひどい場合はシャープにならず、いわゆるはっきりとしたイメージを与えることができません。
それに、口が閉じにくくなり、口を閉じるために口の周りの筋肉に力を入れることで、
顎先にしわができることもあります。
なので矯正をしてあげないといけません。
3DCT上でご覧いただくと、より詳しくご覧いただけます。
顎が小さいですが、後ろにたくさん後退しています。
上下の前歯の位置も間隔がとても大きいです。
そこでSSRO+Genioplasty、
つまり下顎手術と顎の先端前進術(オトガイ舌筋前進も含む)を行います。
最近では、このような根本的な矯正をせず、顎の先にフィラーから始まりシリコンやゴアテックス
最近では3Dプリンターを利用したボーンセメントやチタンを入れることが多いです。
機能的な問題がなければ軽く使える方法で2次選択として考慮できる方法です。(もちろん私の場合、異物は好きではありません)
しかし、機能的な問題、この患者さんのようにいびきがあったり、睡眠時無呼吸症があったり、歯の咬合が正常でない場合は、根本的な解決をしなければなりません 。
顎の先の表面にいくらプロテーゼを入れても機能的な部分、特に呼吸に関連する部分は顎の先の骨の裏面から気道に至る空間に構成されるため、何の関係もありません。
つまり、効果がないということです。
以下のリンクを直接クリックすると、詳細をご覧いただけます。
結果です。
下顎自体が前に出ました。
下顎自体が前に出ることで、歯の咬合も正常になりました。
以前は上の歯と下の歯の距離があまりにも遠く、専門用語で、over-jetがあると言いました。
また、顎先の前進術により、顎先も一緒に出ることで顔型がシャープになりました。
それに、このオトガイ舌筋まで前進させたので、
いびきの症状が改善され、睡眠時無呼吸症候群も改善されました。
拡大した写真です。
前に比べて気道が広がり、咬合も正常になりました。
正面からも下顎にボリュームが出て、それこそ下顎の小さなイメージがなくなりました。
3DCTをご覧ください。
小さな矢印は下顎全体が出た量を表し、
大きな矢印は顎の先とオトガイ舌筋を同時に前進した量を表しています。
この患者さんの場合、できることは全部施しました ^^
もちろん上顎の前進は除いてです···
下顎が生き返ったのですが、顎先がもう少し前進することで顔の全体的なバランスが取れてシャープなイメージに変わりました。
また気道も広がりました。
レントゲンやCTで気道の面積を測って比較することが多いのですが、これは意味がありません。
象徴的に広くなったという話をしようとお見せしますが、
レントゲン上の気道の面積、あるいはCT上での気道の面積は患者さんの姿勢や呼吸などに影響を受けるので絶対的な意味はありません!
呼吸を一定にして内視鏡で気道の断面積を計算する必要があります。
顎先の写真です。
上の写真(術前)と下の写真(術後)をご覧頂くと、完全に変わった下顎を見ることができます。
顎が前に出たのもありますが、下顎が全体的に前に出て、下顎が大きくなり輪郭ラインが正常になりました。
今日は下顎手術と顎の先端前進術を同時に、それにこのオトガイ舌筋前進術まで同時に行ったお話をお伝えしました。
私が上段でSSROあるいはBSSOが一時間以内で終わると紹介したので、簡単だなと思うかもしれません。
ところが、このように前進させる下顎手術は、しゃくれ顎のように後ろに押し込む場合とは異なり、再発が多いです。
そのため、非常に注意を払い、緻密な計画を立てて再発防止のためのノウハウがなければなりません。
普通のしゃくれ顎手術をするように、一般的な方法で施行しては、後々に再手術をしなければならない場合があります。
これは手術者のノウハウです!!!!!!!!!!
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