GO! GO! グレコ(その2) | おんがく・えとせとら

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おんがく・えとせとら-before GOIII-700 BEFORE
おんがく・えとせとら-after AFTER

 GOIIIは長年憧れのギターでした。
 10年余り前、偶然立ち寄った東京の某楽器店で700を見つけました。「こういうのを欲しがってる人間は、そんなにおらんやろ」ということで、いったんその場を離れ、ひと仕事終えた後に資金を調達して再度店に向かいました。が、なんと!すでに「売約済」になっておったのです!うーん、最初に来た時に一言「取り置きにしといて」と言っとけば何のことはなかったのですが…。残念!
 この時の心境を野球に例えるなら、9回裏0対1満塁、一打逆転というところで打席が回ってきてノーストライク・スリーボール。「フォアボールを待った方がええな」という気でいるところに、立て続けにツーストライクが入り、焦ったあまり次に手を出したらクソボールを空振り、アウト、チェンジ、試合終了! …というような感じでしょうか。
「次こそは!」と思いたくなるものの、こういうのは二度と挽回のチャンスはやってこないもんです。

 それが、先日の深夜、何気なく件の店のHPを覗いていたら、あるではありませんか!同じものが!同じ店で!しかも当時と同じ価格で!しばらく考え込みました。「ここまで偶然が重なるちゅうことは「買え」ということではないのか?」。
 気がついたら数日後には、自宅でひとりほくそ笑みながらGOIIIを眺め倒しておりました。

 しかし。30年も前の製品でアーム欠品はしようがないにしても、店ではほとんどメンテをしてないようで、エンドピンは1個欠品、もう1個はネジが緩んでる、糸巻きのポストの締め付けが緩んだまま、ブリッジはスタッドポストから片方脱落、プレートは埃と油まみれ、ロータリースイッチは指示点からズレたまま、もうちょっと手を入れてもええんでないかい?



 さて、GOIIIは、理想のスタイルを兼ね備えたエレキギターではないかと思います。
 ダブルカッタウェイ、シングルコイルも使える3PU、ビブラートアーム、さほど大きくなく重くないボディ等々。
 やたら数が多いノブ類とロータリー式のPUセレクターはいただけませんが。あと、GO,GOIIIに共通した難点ですが、3,4弦はナット部で大きく角度がついているためチューニングが不安定です。チョーキングすると弦の余りの部分が引っ張られ、下げた時にそれがうまく戻らず音程が下がったままになることがある。入念な調整が必要です。

 GOIIIに使用されているハムバッカーは、1500のみ全面をプラスチックで覆ったPU-3D、700を含めた他機種はSX-1となっていました。
 SX-1はそのルックスから、ディマジオのスーパー・ディストーションのコピーと思われます。オーバードライブさせた時の中膨れ気味の音はふくよかではありますが、ボリュームを絞った時にどうにもクリーンぽくならないので、ピックアップを交換することにしました。

おんがく・えとせとら-PU1 おんがく・えとせとら-PU2
上がSX-1、下はディマジオ・デュアルサウンド(スーパー・ディストーションとほぼ同じ)。ベースプレートの材質や背面のポールピースの処理が異なる

 実はハムバッカーのギターをほとんど持ってなかったので、交換用PUについてあまり検討したこともなく何を選ぶか考えましたが、迷ったときのサウンドハウス頼み、一覧表から価格と評判を参考に、シーモア・ダンカンのSH-1"59"とSH-4"JB"を選びました。定番の組み合わせだそうです。なんとなく、なんとなくですが、ディマジオ系は好みではない。

 ちなみに、PUのパワーに関連する直流抵抗の値はそれぞれ以下のとおりです。

・グレコ・SX-1 フロント12.79KΩ リア12.86KΩ(実測値です。)
・ディマジオ・スーパー・ディストーション 13.68KΩ(参考)
・SダンカンSH-1"59" 7.43KΩ
・SダンカンSH-4"JB" 16.40KΩ(SX-1より大きい!)

 SH-4はSH-1の倍以上の値ですが、取り付けてみると両者にそれほど大きな音量差は感じられません。低音成分と弦振幅の差のためか、同じPUを取り付けてもフロントの方が大きく出るようなので、このくらいの差があってもいいのかも。

 なお、ボリュームを絞った時の音の籠りを解消するため、ハイパス・コンデンサーを取り付けてあります。テレキャスターについてるアレですね。コンデンサーは、ALLPARTS JAPANのオレンジドロップタイプ0.0012μFです。マスターボリュームに取り付けてあるので各PUに効きます。
 また、欠品だったアームは、ジャズマスター/ジャガー用の長めのものを購入。足で押さえつけたり万力ではさんだりで無理矢理曲げ加工してあります。長めのものの方がアクションが軽くて良いです。

$おんがく・えとせとら-HIGHPASS

 PU交換の結果は以下の動画で。スッキリした音になりました。特にフロントのSH-1はなかなかいい感じです。「80年代フュージョン」の雰囲気はなくなってしまいましたね。




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