Jeff Beck Rock'n Roll Party | おんがく・えとせとら

おんがく・えとせとら

音楽のこと,楽器のこと,いろいろ。

 一昨年のロニー・スコッツ・クラブのライブDVDは、発売直前にビッグ・タウン・プレイボーイズとのロカビリー・ジョイント映像がカットされたのがまだ記憶に新しいところです。アテにして買ったのに、最終的にはブルーレイ・ディスクのみにボーナス映像として収録されることになってしまい、いまだに思い出す度に腹立たしいっ!
 しかしながら今回、それを補って余りある作品が出てきました。

$おんがく・えとせとら-R&R

「Jeff Beck Rock'n Roll Party」なんとも垢抜けないデザイン…失礼!ロックンロール、ロカビリーっぽい雰囲気を持たせたパッケージ。内容は非常に素晴らしい!の一言。レス・ポール・トリビュートと銘打ってあるだけあって、特に中盤のレス・ポール&メリー・フォード・ナンバー8曲が白眉です。

# How High The Moon
# Sitting On Top Of The World
# Bye Bye Blues
# The World Is Waiting For The Sunrise
# Voya Con Dios
# Mockin’ Bird Hill
# I'm a Fool To Care
# Tiger Rag

ここではレス・ポールの向こうを張って、イメルダ・メイが録音済みボーカルトラックを使って一人多重歌唱に挑戦しています。ドラマーがヘッドフォンをつけているので、録音済みトラックをモニタリングしながらシンクロさせているんでしょうね。一部曲の頭が切れてますが、すべてドラマーのカウント出しでスタートしています。こりゃ難しい。
 ベックのスタジオ盤「Emotion & Comortion」にも1曲参加しているイメルダ・メイは、1974年アイルランド生まれのシンガー。エルビス狂だったお兄さんの影響でロカビリーにのめりこんだとか。渦巻きメッシュを入れた前髪がトレードマークのようです。
 もう一人の男性ボーカル、ダレル・ハイアムはイメルダの夫君。ブルーレイに収録された「ロニー・スコッツ・クラブ」でのライブで、ゲストシンガーとしてBIG TOWN PLAYBOYSとともにベックと共演しています。(下写真参照。何曲かYouTubeで閲覧できるようです。)

$おんがく・えとせとら-becl&may $おんがく・えとせとら-beck&darrel

 ベックはレス・ポールのフレーズを忠実にコピーしてますが、難度は最大級のはずです。さすが!「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」のギター・ソロは途中開放音が絡むんですねえ、初めて気づかされました。
 あと個人的なお気に入りは「スリープ・ウォーク(Sleepwalk)」。スライドでなく、ストラトとトレモロアーム、ボリューム奏法も交えてしっとり聴かせます。

 メインのストラトはまたボディが替わっているようです。以前のやや黄色っぽい白でなく純白のカラー。ネックだけ昔のまま。ほとんどリアPUを使っているようですが、トレブリーでない割とまろやかな音です。本体トーンあるいはアンプのチューニングによるんでしょうか? アンプはツイード、ブラック、スカイブルー計4台のフェンダー・ブルース・ジュニアらしきものが左手の方に見え3台にマイクが立てられています。


 また、このDVDにはボーナス映像がいくつかあって、これも結構楽しめます。
(1)ベックのインタビュー
(2)本DVD制作にまつわる話
(3)ベック、自宅で所有ギターを語る
(4)レス・ポールとのセッション
(5)レス・ポールヴァライザーの実演

 ベック・ファンにとってはやはり(3)が一番興味深いのではないでしょうか。
 自宅屋根裏部屋のような楽器庫で8本のギターを抱えて、ひとつひとつエピソードを紹介しています。

$おんがく・えとせとら-duncan

・シーモア・ダンカンの改造テレキャスター
・Jマクラフリンから譲られたストラト
・グレッチ・ランチャー
・本番でも使ったグレッチ・デュオジェット
・54年製ストラト
・54年製テレキャスター
・本番でも使ったナチュラルのES-175(本人曰く"L-5")
・Jペイジがくれたマリオ・マカフェリのプラスチック・ギター

 他にも、プレシジョンベースやFLASHの時期に使ってた2台のジャクソンなどがちらっと登場しますが、プレイヤー2011年3月号でも改めて紹介されていた「オックスブラッド」レス・ポールは見えません。
 このギターは、先に発刊された「レス・ポール大名鑑」の中で「ゴールドトップに塗り替えた」という本人のコメントが掲載されています。ギブソンが精巧なレプリカを作ってくれたので、オリジナルは元の形に戻そうか、ということなのか?Jベックの代名詞的な存在だっただけにちょっと残念な感じも。



 発売元ヤマハミュージックアンドビジュアルのホームページでは「How High The Moon」動画のサワリが見られます。