先月の読書は2つトピックがあります。
佐武と市捕物控
2023年3月に庵野さんが監督している「シン仮面ライダー」を見て、改めて原作者の石ノ森章太郎関連本を読んでいます。特に気になったのは、1995年に亡くなった富山敬さんが「一番好きだったキャラクター」として挙げた中に「佐武と市捕物控え」というアニメの佐武がいたことです。今、原作を読み進めております。
驚いたのは、「今でも古くない」ことです。そして、江戸時代の風俗を昭和からの目線で描いていること。
鯉のぼりが「武家に対する町人の対抗」なんて、想像がつきませんでした。尚武→菖蒲だから、もともとは武家のお祭りだったのは想像しておりましたが。町人、考えたものです。
「19世紀イタリア怪奇幻想短篇集」
もうひとつの今月のトピックは19世紀のイタリア怪奇短編。怪奇文学はイギリス、フランスだけの動きではなかったんですね。今回読んだ「19世紀イタリア怪奇幻想短篇集」のエドモン・ド・ゴンクールの「ファ・ゴア・ニの幽霊」は異国日本の風俗が描かれています。この作品は、プロシア出身の外交官ルドルフ・リンダウがフランスで1864年に出版した「スイス領事の見た幕末の日本」の横浜の記事を参考にしたのではないかと巻末にありました。「ファ・ゴア・ニの幽霊」には、オランダ領事館のある地区、「弁天」にあった外国人向けの遊郭「岩亀楼」(ヤンキロ)の名が出てきます。






弁天通りを挟んで建つのは、損保ジャパン日本興亜馬車道ビル[旧川崎銀行横浜支店]
4月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1046
ナイス数:12
佐武と市捕物控(3) (石ノ森章太郎デジタル大全)の感想
2023年3月下旬に浮世絵師「芳年・芳幾」を見たせいか、「隅田川物語」冒頭のシーンは浮世絵の影響を受けての演出かと思いました。少年誌から青年誌に舞台を変えて、1968年4月に初出。当時の青年たちはこの物語をどう読んだのでしょうか。キャラクターのつくりは、1~2の少年とは異なり、純粋に悩む青年像に変容しています。何よりもペンタッチが細かくなりました。 「100分de名著 果てしなき石ノ森章太郎」には石ノ森が64ページの連載枠を要求していたエピソードが紹介されていました。
読了日:04月30日 著者:石ノ森章太郎
佐武と市捕物控(2) (石ノ森章太郎デジタル大全)の感想
少年誌に連載されていたためか、江戸の風習についても解説があって、参考になりました。「菖蒲の節句」と思っていたのは実は武士の風習「尚武の節句」だったところ、町人が鯉のぼりを挙げて、武士の風習を淘汰した話など、今更のうんちくに関心しました。また、人形の事件を浄瑠璃を使って演出するなど、総毛立ちました。
読了日:04月30日 著者:石ノ森章太郎
佐武と市捕物控(1) (石ノ森章太郎デジタル大全)の感想
シン仮面ライダーを見て、改めて石ノ森章太郎関係の雑誌を読みました。その中で「佐武と市捕物控」に触れているものがあったこと、昔、大好きだった声優 富山敬さんが一番印象に残った役に「佐武と市捕物控」の佐武を挙げていたので、手に取りました。キャラクターの作りは昭和…にも関わらず、物語展開の切れ味は今でも新しいです。
読了日:04月09日 著者:石ノ森章太郎
19世紀イタリア怪奇幻想短篇集 (光文社古典新訳文庫)の感想
19世紀、イギリスでは、1818年 メアリー・シェリーは「フランケンシュタイン」を書き、1887年「緋色の研究」でシャーロック・ホームズが登場。フランスでは、1831年 エドガー・アラン・ポーが「アッシャー家の崩壊」を書き、1841年は「モルグ街の殺人事件」を上梓。19世紀初頭、高まるナショナリズムのもと、グリム兄弟がグリム童話を編纂。同じ頃、イタリアでも同じような動きがあったことに驚きながら、読みました。
読了日:04月02日 著者:
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今回読んだ本